雪降る場所の精霊 ④
本日は一話だけといったな? あれは嘘だ。
ユッケさんがウサギの国に行くには私がウサギになっていくしかない。
ウサギになるとなぜか入れる国。ただ、最初に入ったときは私はウサギじゃなく近くにウサギがいたからはいれた。なら、私の近くにいればきっと入れるだろうという目論見。
結論から言うと、入れました。
「ミキってこんなとこも発見する……。個々発見できるんならもう理想郷も近いんじゃない?」
うぐ……。
私が黙ったことにより、少し驚いている。
「……もしかして、もう行ってる系?」
「……はい」
「ええええ!? ほんとに!? どこどこ!?」
「えっと、ジパングとカナアン……です」
「は?」
え?
「二つも……? えっ、いや、嘘でしょ? え、ええ?」
受け入れがたいのかな……。
でも事実だしな……。
「ふぁああああ!? あと第一層エリアしか残ってないじゃない!」
と、焦りを見せていた。
そういえば、私も第一層エリアの理想郷は知らないな。始まりだからな。始まりに由来する理想郷が出ると思う。
獣の国の海底には竜宮があることはすでに決定しているしね。ほんと、あのスピクという人魚のおかげだ。
「見つけなきゃ……。二つもあなたに取られて一つは違う人、もう一つも違う人に取られて……」
「そう焦らなくても」
「焦るわよ! 理想郷で得られるスキルや祝福はとても壊れ性能なの! 取らない理由がないわ」
「だよね」
まぁ、なんだか独占して申し訳ない気がするし情報を教えようかな。
「ま、ちょっと悪いから情報を教えると、獣の国の海底に一つあるっていう話」
「獣の国? ジャパリパーク?」
「そうじゃなくて、多分未実装のエリアなんだけどそこの海底に一つある」
「……ソースは?」
「人魚」
「人魚にもあってるの!?」
あ、そっか。この世界で人魚ってあまり見ないもんな。
「この前釣り上げて聞いた話。人魚の国は第一層エリアにあって潜るといけるけど海の精霊王か私の紹介がないと入れないらしい」
「……待って。情報がものすごく多いし貴重だわ……。よくもそんなに……」
「私もよく出会うんだよね……。私自身は望んでないんだけどさ」
もう嬉しい通り越して嫌がらせの域だよね。
「イベントもあってそれで限定種族で尚且つ化け物PSとかなに? 一つでもいいからちょうだい」
「ははは。あげられるならあげたいね」
「くぅ……。……あ、そういえば今なんレベルなのかしら。気になっただけなんだけど」
「うーんと99?」
「は? え、今の上限って70レベルじゃないの!?」
「創造神になったらレベルキャップ解放されたんだよね」
「創造神!?」
あ、そういえば知らないのか。
精霊神から精霊の創造神という立場になったこと。まさかの二段階進化。
「……私なんて神以前に王にすらなれてないのに……」
「な、なんか、ごめんね」
なんだか申し訳ない気分でいっぱいだァ……。