雪降る場所の精霊 ③
蛙の幽霊だぁぁぁぁぁl!?
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
私は言葉にもならない悲鳴を上げる。
だってだって蛙だし幽霊だもん! 無理だよ! 勝てない! はい死んだ! 私死んだ! どうすればいいんですかね!? 幽霊が絶対的に嫌だもん!
「まぢ無理……」
幽霊だけはッ! 幽霊だけはやめてほしかった……。
ははは、そうだよな。吹雪の中で人が死ぬっていうこともあるし、妖怪にも雪女ってやつもいるし、出るのはわかるだろ。
でもさぁ……。
無理! これだけは嫌だぁぁぁぁぁ!
私は、わき目もふらず逃げだした。
雪の精さんごめんなさい! 私にはクリア不可能です! 幽霊だけは死んでも嫌なんですよ! 私怖い話とか無理なの! 見ると夜トイレいけないの……。
真面目に怖い話を聞くとちびることもある……。
ウサギ化し、来た道を逆走。そして、元の世界に戻った。
ここまで逃げたからいいだろ……。
「さて、これからどうしよう」
逃げてきた。逃げてきちゃった……。
「誰かに委託しよう。そうしよう」
問題はウサギの国にいけるかっていうことと、高レベルの魔法使いを探さないとということだ。みるきーとロックは魔法使いだけど如何せんレベルが……。
とりあえず有名なギルド……。あ、切り拓くバカ共のみなさんに魔法使いいないのかな?
「いないな」
開口一番にそう告げられる。
どうやら戦士だけで構成されているらしく魔法使いはいないそうだ。バカ共っていうんだから近衛職一点縛りというのがバカだろ? ということらしい。
……どうしよう。伝手がない!
このままだとワールドクエストが……。
「ふむ、魔法使い探すなら俺らと同じようなやつでやってるギルドがある。名前は……”鋼の錬〇術師”っていう名前だったような……」
それ大丈夫なの? 引っかからないの?
「違うわよ。”ソーサリーアルケミスト”よ。魔法使いと錬金術師の複合ギルド」
「ちょうどいいところにきたな」
「ん? なんか用?」
「こちらの嬢ちゃんが頼みたいことがあるみたいだ」
「ふぅん。依頼ね。高いわよ?」
高くてもクリアできるなら大丈夫です!
私はマル秘場所について話した。
すると、一気に目を見開いた。それほど驚くほどだったらしい。いや、驚くよね普通。
「マル秘場所!? 行くわ! そこで蛙の幽霊と戦えばいいのね!」
「はい! 私じゃ無理なんで!」
「わかったわ。ちょっとこれから野暮用があるから八時になったら噴水の前で落ち合いましょう。自己紹介をしておくと、私はユッケ。これでも魔法使いの腕としてはプレイヤー2位を誇る腕よ」
「私はミキです!」
自己紹介すると、相手が固まった。
「ミキ……? 精霊魔法使い、尚且つ魔法使いプレイヤー1位の?」
「はい。たぶんそれです」
「……あなたほどの人がギブアップする相手に勝てるわけないじゃない!」
と、なんだか怒っていた。
いや、勝てないのには理由があって……。
「私幽霊がダメで……見るだけでも逃げ出すんで戦うどころじゃないんです」
「あ、あら、そ、そうなの? な、ならまだか、勝てる見込みはあるわね……」
「蛙の幽霊とか私の嫌いなもの詰め合わせですから。もう無理なんです……」
「わかるわぁ。私はミミズが本当に無理なのよ。わかるわかる」
ユッケさんはミミズが苦手か……。
恐怖心が勝る。