雪降る場所の精霊 ②
ひょっこり現れた雪の精が私に近づいてくる。
キャベツを齧る手を止めてゆっくりとキャベツを地面に置いた。雪の上だし大丈夫だろう。
「そーぞーしんさま! おねがいがあるのです!」
「お願い?」
頭を撫でながらお願いというものを聞くことにした。
何かなー? 可愛いお願いだといいんだけどなー。私のことだからどうせ重要な依頼なんだろうけどなー。なんて思っている。
最近自覚してきたんだ。
私の豪運がすごいって。なんかやばすぎるものばかり引くって。
「せーれーのかずがすくないのです! おかしいのです!」
ほら。なんか重要そうな……。
「そーぞーしんさま! せーれーをつくってください!」
《ワールドクエスト:精霊たちの困り事 を受けました》
強制的なんですね。
まあ、やるけどさ。もう驚かなくなったよ。ワールドクエストね。ワールドクエスト。うん。知ってるよ。ワールドクエストでしょ?
あれだよねー。私ってつくづくこういうものに巡り合うよねー。
雪の精霊を10体作った。
創造神だけあり創ることは容易だったが、ものすごくMPを持ってかれてしまって久しぶりにMPがなくなったと感じた。体がだるい……。魔物は創るの簡単で尚且つ消費MPも少ないんだけどな……。
「わーい! なかまですー!」
創った仲間と戯れる雪の精。
私は雪の上に寝そべり、空を見上げていた。疲れた……。ゲームでこんなに疲れるか……。それにしても、精霊の数が少ないってなんでだよ……。
「ありがとうございます! そーぞーしんさま……。あっ」
あっってなに。
「原因の調査もお願いしたいのです!」
「……わかったよ」
そうだよな。創るだけだといわゆる対症療法ってやつで根本的な解決にはならない。雪の精を脅かす何かがここにいるのだろう。
例えば……。精霊自体を食う恐ろしい魔物……とか?
これが一番ありうるんだよ。
だとするとなぁ。私自身極上の餌だろうなぁ。
これでも私分類は精霊だからね。創造神になったとはいえ精霊という分類だからなー。
「まあ、倒すしかないんだろうけどさ」
私は森の方へ向かってみることにした。
手がかりがまるでないために手当たり次第探すしかあるまい。精霊を食うモンスターがいたと仮定して倒せるか? 私が倒せないほど強かったらどうしようか。なんて考えてしまう。
「……ま、なんとでもなるか」
倒せなかったら倒せなかったでその時考えようか。
……だがしかし。私の楽観さはやばかった。
・精霊食い
亡霊が精霊を食べ進化した姿。精霊を食い魔力を高める。
目の前には、蛙の幽霊が……。
……詰んだ。私詰んだ。
蛙→強くなる
幽霊→弱くなる
どっちも→???
あ、明日は一話投稿となります