人魚の国 ①
おしゃべり人魚のスピクに連れられて私たちは海底に来ていた。
不思議なことに呼吸ができるというのが恐ろしい。聞いてみると人魚の力なんだとか。海底でも呼吸ができるようにした……とのこと。
泳いだときは酸素が必要で酸素ボンベがないとここまでこれない……。人魚ってすごいな。
「見えてきた! あれが私の国! かの有名な人魚の王様……つまり私の父上が統べる人魚の王国よ! ふふふ、人間を誘うのは初めてね! まあ? プリティなこの姫様が誘ってるから入国申請も簡単に通るわよ!」
「はぁ!? 通らないの!?」
門で止められて私たちは立ち往生していた。
人魚族のお姫様というスピクは怒って兵士に当たっている。兵士たちはいい迷惑そうに顔をゆがめている。わがままなのかな……?
「姫様が言ってるんだから通してもいいじゃん! 規則とか知らないからさー!」
「いえ、規則は規則で……」
規則は規則だから仕方ないね。
「海の精霊王の許しを得ないと入れられませんよ。取ってきてください」
「ええ……。そこまで行くのだるい……」
海の精霊王?
海に精霊王はいるんだ。
「ミキ。ミキは入れないのかな? 精霊の創造神だからさ」
「入れるかも」
だって精霊神だからね。
試しに言ってみるのもいいかもしれない。これでは入れなかったら泣くけどね。
「あのー、私これでも精霊です」
「精霊? 陸の精霊か……。ふむ、だがしかし、精霊と言えども王の指示無くして……」
「これでも精霊の創造神っていう立場で」
「「「「「「!!!!?????」」」」」」
この場にいる全員が驚いていた。
精霊の創造神っていう立場が相当偉いのかな? だとしたらいいんだけど……。
「そ、そうだ……。この人から感じる圧倒的な精霊の力……。王よりも数百倍上回っている!? は、ははっ! 失礼いたしました! まさか創造神様とはつゆ知らず! 申し訳ない!」
「ははは、いいんだよ。で、入れさせてもらえるかな?」
「ぜひとも! 歓待の準備を……」
「それはしなくていい」
歓待なんかされると楽しめるもんじゃなさそうだし。
この立場って結構いいな。VIP的な扱いだし……。これ、権力乱用と思われるかもしれないけど使えるものは使わないとね。せっかくの立場なんだからさ。
「もちろんこの人もいいよね? 私の連れだから」
「もちろんですとも!」
はい。入国完了。
人魚の王国。楽しみだなぁ。
と、入ろうとしたその矢先だった。
目の前にはデカい人魚とクラゲのような頭をした女性の人が立っている。いや、どちらも頭を垂れ傅いているような体勢だった。
もしかしなくても敬われているのだろうか。
「……えっと」
「申し遅れました。私は人魚族を統べています人魚の王。名はフラットルと申します。創造神様。我が人魚族はあなたに従うつもりでおりますゆえに」
「私は海の精霊王をさせてもらっておりますアラビアと申します。創造神様」
……なんだこの状況。
1日遅れの投稿じゃい。兄がパソコン占領してかけないのでゴザル。そんな理由でたまに投稿できないです。