おしゃべり人魚
魚を釣ろうと思ったら人魚が釣れた。
何言ってるかわからないって? 私も。
「精霊の創造神様でしたか。すいません。ナマいっちゃって。生ものだけに」
なんか変な人魚釣れたなぁ。
「ねぇ、どうするの。これどうするの……」
「私に言われてもねぇ」
目の前の人魚はものすごくテンションが高い。
ものすごくテンポよく話しかけてくる。
「いやぁ、海上を散歩しようと思ってたら餌に引っかかってねえ! わたしゃ魚かっての! 魚だけどね! でね、こうばーんと釣られたわけですよ! いやぁ、私五月蠅いでしょ? なぜこう息継ぎしないでしゃべるかって知りたい? 知りたいなら教えてあげようか。魚は息が命だからね! なんつってね! やかましわ! やかましいわ! 二つの意味で! あははははは!」
よくしゃべる人魚さんだなぁ……。
「そうそうそうそう! そうが一個多い!ってね。せっかちなもんで多くつけてしまいすみませんね。せっかちじゃないよう落ち着いて喋ることにしますね。落ち着くとなんだか眠く……」
と、鼻提灯をつくって眠り始めた。
なんだこの人魚……。
「人魚の国?」
「う! あ、今度は落ち着きすぎてそが抜けた! 私ってドジだしおしゃべりだしせっかちだから仕方ないとは思うから許して! それでせっかちといえば」「人魚の国について手短に教えてくれ」
エルルゥがイライライライラしてきたのか怒ったように話を遮った。 あ、私もちょっとイライラ多かった。
「人魚の国は海底にある国なんよー! 獣の国の海底にある龍宮とはまた別物だけどね? 下に人魚が暮らしている王国があるのよ!」
まだ人魚は話しているが気になる単語が聞こえてくる。
獣の国……? その海底に竜宮?
竜宮という理想郷がいずれ実装される獣の国の海底にあることが明白。これは願ってもないヒントになったぞ。覚えておこう。
「わかった。連れて行ってくれるというなら連れて行ってくれ。もちろん喋らないで」
「そんなん無理だよぅ! 私は喋る以外能がない人魚だよ? それって海の中でえら呼吸せずに肺呼吸しろって言ってるのと同じだからね? わかってるかな? 魚のたとえしても人間にはわかんないか! こりゃまた失礼! 人間でいうと歩いたり走ったりするのやめろと同義だよ。死ねっていうことでしょ? 私死にたくないから無理だね!」
よくしゃべる……。
「あ、私の名前知らないか! 私は人魚のスピク! 話すのが趣味だよぅ。むしろ生きがいだし生きてる理由と言ってもいいね。これでも人魚のお姫様だもん。だけどみんな私の話聞かないからつまんなくてねー」
ほんと、よくしゃべる人魚だ……。
明日投稿できないかもしれません。