一夜の泥棒物語 ④
なんか死神のミソギさんがこっちついちゃったから結構楽になった。
状態異常を相手に付与し、じわじわと削っていく。
「誰だか知らねえがやるじゃねえか! ありがとよ! 先急ぐぜ!」
魔王たちはやられたわけじゃない。ただただミソギさんに足止めしてもらっている。まさかこっちにつくとはおもってなかったけどね。
私たちは駆け抜けていく。
「ただの木端にゃああたしは倒せねえよ!」
そうして最後の階層に到着。天守閣に到着し、将軍と相まみえることになった。
将軍の周りには勇者がいる。勇者ロト。剣を構えてこちらを見ている。私も構えるけれど、以前の彼とは違った感じがする。
気を引き締めていこうじゃないか。
「絶景かな絶景かな」
「ゴエモン! お前にはこの宝はやらぬぞ!」
「その宝は価千金。このゴエモン様は価万両だぜ? その宝よりあたしの首のほうが価値があるってもんだ。宝なんぞなくともこの命をさしだしゃあ民も喜ぶってもんよ」
「なら差し出すがよいさ!」
「あたしはまだ死にたくねえもんでな! 代わりにあたしより価値がねえその宝を奪うことにした! この天下一の大泥棒、ゴエモン様に盗まれるたァ光栄だなァ!」
「盗める気になっておって……。こちらには優秀な人材がいるのだぞ! 勝てると思っておるのか!」
「なァに、こちらにもいるぜ? それに、このゴエモン様に盗めねぇ宝なんぞあるわきゃねえんだよ!」
ゴエモンさんが視線をよこしてくる。私が相手をしろということらしい。
さすがに敵わないとみきったのか私が戦う。
「勇者ロト。ゴエモンが弟子、ミキがお相手いたす」
「将軍に雇われし用心棒、勇者ロト。精霊の創造神の悪行お正し致す」
ロールプレイにまさか乗っかってくるか。
面白い。
結論から言うと、勇者ロトはもう、いともたやすく勝ててしまった。
いや、ちょっとは苦戦したんだけど……。まだトロフィのほうが強いんじゃないかっていうレベルで……。どうしよう。簡単に倒したんだけど……。
「ロト。最近レベル上げとかした?」
「うっ」
「してないんだ……」
それなら仕方ないし、私も百になったからレベル差もあるんだろう。
百レベルにするのはちょっと大変だったけどレベルの恩恵を感じるなぁ。
「ゴエモンさん! 勇者討伐完了いたしました!」
「おう! ならあとはあたしに任せな!」
将軍には手を出さず雑魚兵士を相手どるゴエモンさん。
私は宝めがけて一直線に飛んでいく。盗んで自分の陣地に持って帰れば私たちの勝利となる。この宝をていけばいいんだ。
でかい。イベントリに収納不可と鑑定したら出たから手で運ぶ必要があるか……。壊してもいけないから慎重に運ぶ必要があるな。
ま、宝を……。
「隙だらけだ!」
「……っ!」
刀で斬られる。
私の体力が三分の一ほど削れた。斬ってきた相手を魔法で倒し、宝を手に取るのだった。
自分の3DSがメイドインワリオしかやれない体になってしまいました。