一夜の泥棒物語 ②
私は門の目の前に姿を現した。
「天下の大泥棒! ミキ、参上仕った!」
名乗りを上げ、交戦体制を取る。
……ん?
「チリンたち!?」
「ミキ!?」
どうやら、相手側にはチリン達がいるようです。
こっちに運悪く王は一人もいないと思ったんだ。全部そっちかぁ……。となると私は全員を相手どるというわけだろうか。
……やるしかないのかぁ!
「……”約束の地”」
私は大地を変形させる。池を作り、草を生やす。
相手プレイヤーは困惑している。
「今回はミキが敵とか……! 割に合わないなあ!」
「こっちも全力で応戦するまで! ほら、チリンだけで私が対処できるの? 他のプレイヤーで私をリンチにしちゃいなよ!」
私がそう煽ると手が足りないと思ったのか人数が増えて警備が薄くなる。ただ正面玄関で闘っているのでここからの突破は厳しいだろう。
他のプレイヤーも中にいけ!
「……ゴエモン流隠遁術」
「消えた……!?」
ただ気配を消しミスディレクションのように視線を誘導させる技だ。よく目を凝らすと見えるんだよ。疑似透明化って感じかな。
「”強奪”」
強奪は相手の持ち物、装備をランダムで盗む。
運がいい。チリンから剣を盗んだ。
「私の剣が!?」
「”ジパングの祝福”」
理想郷二個目の力。
ここであがくからこそ意味がある。勝つのは厳しいかもしれないけど、粘ることはできるさ!
「おらあああ!」
「しねええええ!」
切りかかってくるやつを躱し魔法を打ち込む。
躱しては魔法を打ち込むのだが。問題の人が二人。
「チリンにニル。効かないか」
チリンは以上に防御力が上がってなんと普通の魔法なら二発は耐えれるようになった。ニルに関しては竜になるとものすごく体力が多くなるために一発じゃ無理ということだ。
ニルは竜化している。正直厄介だ。
「”ヘビーウイング!”」
と、竜の翼で攻撃してくる。
避ける。のだがなぜかダメージを受けた。かまいたち……?
「”ふらっ」
「させるか!」
フラッシュを唱えようとしたチリンに魔法をぶつけてやめさせる。
チリンはポーションを飲んで回復した。厄介だな。ポーションをたくさん持ってるとしたらワンパンしなくちゃ勝てない。
「二人相手はキッツい……」
止まない二人の攻撃。剣を持ってないチリンは素手だがニルに関しては竜王だ。手を焼くことには変わりない。
「きついといいながらも対応できてる時点で頭おかしいなぁ!?」
「”約束の地”」
約束の地を使用。
ニルの下にデカい穴を作るように念じた。
「わわっ!?」
「土に埋まってろ!」
でかい図体がひっくり返り背中が穴の中に突っ込んで抜けなくなっていた。カナアンすげえ!
これでまず一人は対処完了。
「……これ以上やったら私負けるなあ」
「降参してくれる?」
「……いいよ。じゃ、私は離れる。で、その代わり剣を返して……」
「わかった」
剣をとりだし地面に置いた。
そして、私は中に入っていった。