リアルで会おう②
私たちはVRカフェというところに来ていた。
昔でいうネットカフェ、みたいなところだ。ここで三人で遊ぶという。VRギアを買えないものにとっては神に等しいほど崇められている。
ギアは高いから仕方ないね。安い奴でもたしか六、七万くらいはするんじゃないかな? 私のは結構高い奴だったような気がする。同じ型のもの調べたら二十万近くの……。考えるのをやめよう。
まあ、あと説明しておくと自分のヘッドギアは他人に貸与できない。盗難防止のために最初に脳波を登録した人でなければ使用は不可だ。そして、一つに登録してしまうと他のヘッドギアに登録はできない。違う機種にする場合にはギアを作っている会社にギアを輸送し、登録された脳波を解除しなければならないのだ。
だけれど、このカフェは別。
コードで管理しているから、誰にでも使える。コードさえつながっていればいいのだ。私たちが使うのはコードレス。つまり、個人使用用。カフェみたいなのは団体使用用。
すごい技術だね。
「プレミアムで三人二時間」
「かしこまりました。こちらギアのカギとなっておりますのでギアをこちらから持っていってからお部屋にお向かいください」
カフェの個室にもグレードはある。
プレミアムはものすごく高いがVRをやる環境がものすごくいい。微振動で筋肉を動かし続けてくれるベッド付き、そしてアラーム機能付き。
やめたいときにアラームを設定しておけばやめることができる。
まあ、プレミアムが高いのは大体ベッドのせいだけどね。微差移動させるベッドが本当に高い。安くて五百万。作れる会社が一つ、素材が高価なこともあっての値段だ。
「さて、みんなでA2Oやろうか。まあ、ここではみんなレベル一、だからね? セーブはされてないからさ」
「わかりました!」
「精霊王じゃない美咲が見れるのか。それはそれでいいな」
「さ、早速やろうか。なんか今朝微妙にアプデあったらしいし、それを確認がてら、ね」
微妙にアプデ?
アバターを作る画面になった。
もちろんAIさんも変わらず。名前を決めるときにミキってやっても同じ名前は使えないってわかったから今度はサキにした。
そして、アプデの内容が次にあった。
《職業を選択しますか?》
そう。作成画面で職業を選べるようになったのだ。
もちろんいいえを選んでも大丈夫。ただ、大体は此処で付けたほうが楽。だって行くの面倒でしょ?
まあ、本アカウントじゃ職業なんてものはつけないし、職業選ぼうかなー。私は……狩人かな。射撃は大の得意だしね!
狩人を選択する。
すると、私が装備している服が消え、弓矢と狩人の服を装備させられた。
ちなみに種族はエルフにしてる。可愛いでしょ? 身長ももともとちびの身長を最大限小さくして胸も……いや、もとからないんだけどさ。
これでよし。さあ、いこうか!!
ゲームにログインすると、目の前にはケモミミを生やした女の子と、ひげを生やした女の子がいた。ひげを生やしているのが珠洲で、ケモミミが真野ちゃん!!
「ドワーフってこんな感じなんだー……ひげ……おっさんぽい」
「ケモミミ……。ふむ、悪くないね」
二人は自分の体をあちこち触っている。
まあ、私は触るほどではないんだけども。あまり変わらないし……。
「ミキちゃんはエルフか。可愛いね」
「はうあっ!?」
真野ちゃんに可愛いって言われたあ……!
「……あまり変に褒めないほうがいいですよ。ダメージうけますから」
「そ、そうだね。気を付けるよ」
気をつけなくてもいいんだけどなー。
やっとA2Oに行けた……。
実は誰だってサブ垢を作れます。カフェに行かなくちゃいけないんですけどね。個人用ではサブ作れませんよー、団体用と個人用で一つずつ作れますよーって感じです。まあ、団体用なんて一個人ではお金が足りないんですけどね。だってコードがある分難しくなってますもん。脳波を記憶して脳波を感知し数ある脳波から選んでデータを復元するって方式ですし。
かるーく一千万はいくんじゃないですかね? 価格設定はだいたいアバウトですけどね。とりあえずめちゃくそ高いってだけ理解していれば問題なし。