一夜の泥棒物語 ①
イベントは第五層エリアで行われる。
天守閣エリアの人は町の中に入り警備をするらしい。泥棒側の人は人が少ないがその分手練ればかりだった。みたところトッププレイヤーが多い気がする。
だがしかし。精霊の守護者の人が一人もいない。
「おや? ミキじゃねえか! おまえも財宝を狙ってんのか! 目ぇつけるたぁやるじゃねえか!」
と声をかけてきたのはゴエモンさん。
……もしかしてNPCも加わってのイベントなんだろうか。
「じゃ、ここは師弟で仲良く盗もうじゃねえか。遅れるんじゃねぇぞ?」
「はいっ」
「それじゃ、天守閣を目指してあたしらはちょいとばかし遊びにいくとするか!」
夜の和の国の街に駆け出していった。
移動用スキル”疾風”と”ゴエモン流隠遁術を駆使し街の中を移動する。だがしかし完全に見えなくなっているわけじゃないためバレる可能性もある。
「さすがに城の周りは警備が厚い。あそこの突破方法を考えるぞ」
ゴエモンさんが小さい声でしゃべっている。
すると、一人プレイヤーが馬鹿正直に突貫していった。あいにく撃沈しキルされた。そういえばキル、されるんだ。ゴエモンさんがキルされたらどうなるんだろうか。
「中に入るにゃあ壁をよじ登るか正面突破の二択しかねえ。だがしかし中庭にも人は配備されているはずだ。ミキ。おまえさんならどう突破する?」
む、難しいな……。
飛行スキルで一気に天守閣……というわけにもいかないんだ。窓がないから入れない。地上からいくしかないんだけど……。今あるスキルでいけるのか?
「うーん。だれかを囮にする……というわけにもいかないし町の人に協力してもらって話しかけてもらってその隙にとか」
「複数人がそこにいたらおかしい。偶然ではないし明らかに意図的だと相手に読まれてしまうぜ」
ですよねー。
「む、誰かいるよ!」
「バレたか! 隠遁術を使用し疾走で逃走するぜ!」
「わ、わかりました」
今の声。どうも聞いたことがあるんだよな。
見つからないうちに逃げ切った。
また振り出しの場所に戻る。他のプレイヤーも死に戻ってきてはまた行く人も多い。手ごわいな。相手の人数のほうが多いから。
「作戦を練り直す」
と、地図を広げる。城の詳細な地図だ。
「まず門の前に雇われた門番が複数。手練れとみるとすると……正面突破は厳しい。だがしかし、壁をよじのぼるのも塀の中が見れないために危険さが増す。どうしたもんかねえ……」
筆を持ち考えるゴエモンさん。
ふーむ、見回り兵士、見回りプレイヤー、門番プレイヤーに警備プレイヤー。
プレイヤーが厄介だ。
「見つかる前提で突破してしまうっていうのはどうでしょう」
「……それだ! その作戦で行こうとしようか。ミキ。あんたが騒ぎを起こせ」
「はい」
騒ぎを起こせばいいんだね?
了解っと。
第五回イベント開催されました。
いやぁ、第四回は執筆してないし第五回は書きたかったんだ。