未来都市ジパング
階段をゆっくり降りてみる。ライトを唱えながら。
薄暗い階段は一本道であり何も出てくる気配がない。ただただ長い階段が続くだけ。
「……何があるんだろうな」
十中八九理想郷。
私はちょっと想像がついている。ここは和の国だから。
で、しばらくして広い空間についたのだった。そこには、街が広がっていた。
ビルのようなものがあり、電気が通っているのか光っている。というか、私たちが住んでいる日本の国とほぼ同じような感じ。和の国だからこうだったか。
『ようこそ。旅の皆さん』
女性の声が聞こえてくる。
『ここは未来都市ジパング。あなた方が最初の異邦人となりましょう。ささやかながらジパングの祝福を授けます』
第五層エリア。ジパング。
やはりジパングだったか。ジパングはマルコポーロが書いた東方見聞録で書かれていた理想郷。ジパングは黄金郷とも呼ばれており、現在の日本を指している。
だから和の国にはジパングじゃないかなってね。
「……やったよ!ムー!」
「うん」
「理想郷についたーーーーー! 一番乗りー!」
三人は上機嫌だった。
ジパングの祝福。
そして、スキル”ワコク”。
ワコクの効果は攻撃威力の大幅上昇に加え攻撃速度が2倍。だがしかし魔法には関係がない。剣士や狩人用のスキルらしく私には無意味だった。
けれど、祝福は違った。
「満腹度の一時的減少停止、MP消費を一時的停止。これはやばい」
つまりこれを使うと阿修羅化が普通に使えるしMPを消費し続けるスキルもしなくなるというわけで。これはやばい。
あからさまな壊れだなあ。効果時間は検証して三分だった。ウルト〇マンだ。
「これで四つ発見!」
「……そのうちの三つが私たち」
そう考えるとすごい。
私たちだけ結構得しているような気もする。他の人にも分けてあげよう。第一層エリアを探して、ありそうなところに目星をつけてかな。
流石に理想郷の力はいらないや。カナアン、ジパングだけでお腹いっぱい。
「……そういえば何となく予測してるって言ってたけど予想当たってた? ミキ」
「まあね」
「……なんで予測できたの?」
「んー、まあ、それはここが和の国のエリアだからね」
「それだけ?」
「それだけ」
関連したものが理想郷になるんじゃないかっていうこと。
マグ・メルなんか特にそうだ。第三層エリアは墓場とかあり死が一番近い場所。だからマグ・メルだった。それなら常世とかでもいいと思うけどね。
マグ・メルの説明をしておくと死者の国であり喜びの島。
まあ、説には海中の王国だとか言われてるけどね。なんで陸にあるんだろう。
他にも死者の国なら常世、ニライカナイなどたくさんあるけどね。ニライカナイなんかのほうがよかったという感じもある。
「とりあえず、そろそろ夕飯の時間だしギルドに戻ってログアウトするね」
「私もするよ」
第二層は鉄の国。だから黄金郷。
第四層は精霊たちに与えられた土地。だからカナアン。
ちょっとだけ関連はしております。第三層エリアにマグ・メルとなったのはこのためです。