理想郷を目指す神と傭兵 ①
さて、精霊樹を植え終わったから次は何をしようか。
「ミキ! 理想郷探そうよ!」
と、悩んでいるとチリンがそう言ってくる。
ものすごくテンションが上がっている。そういえばチリンに私が理想郷見つけたこと言ってないような。
「あのねあのね、第三層エリアでマグ・メルが見つかったんだって! ニルは竜宮があることを示唆している乙姫連れてきたしソゥとエルルゥはエル・ドラード見つけたし! そろそろ私も見つけたい!」
ということらしい。
で、私も理想郷を一つ見つけたことを報告した。
「……マジで? ミキのことだから見つけてると思ったけど……。ちなみにどこで?」
「チリン達とはぐれて直後」
「あー、第四層エリアの海ね!」
ダンジョンに潜っていた間私はどこか知らないところに流れ着いてそこが理想郷で。そのおかげでカナアンを発見することができたんだけどね。
それは単に偶然だから見つけるにしたって闇雲に探すしかないからなあ。
「エル・ドラードは第二層っていってたし乙姫が倒れていたのは第一層……」
「各階層に一個しかないのかも。だとすると二層、三層、四層は発見済みっていうことかな」
「え? 一層は除外しないの?」
「一層は乙姫が倒れていたってだけで理想郷には行ってないからね。現にニルは理想郷の力を手にいれてないみたいだし」
だから、第一層にもあると思うんだ。龍宮か、それ以外か。
だからまず探すには乙姫の話を聞こうかな。
「竜宮王国? ああ、あるぞよ」
ニルと一緒に行動している乙姫がそう言っている。
「ただ、妾が流れ着いたところとはちょいとばかし遠くてのぉ。ここから遙か北の海の中なのじゃ」
ということらしい。
第一層エリアにはまずないことが判明した。
「ありがとう乙姫」
「うむ。妾が帰るときニルと一緒に誘ってやろう。ミキは神のようじゃしな!」
「ありがとうございます」
というわけで私はチリンの元に戻る。
「チリン。第一層か五層どっちがいい?」
第五層の理想郷。名前だけはちょっとばかり見当ついてるんだよね。
第一層もなんとなくは……。名前で言うと有名なのは一層かもしれない。なじみ深いのは五層かな。
あくまで予測だけどね。
「うーん。ミキはどっちがいいと思う?」
「名前的に壊れ性能なら第一層」
「なら第五層で」
私の意見は?
「第一層は見つけた人にあげるよ。そこまで壊れてるのいらないしね」
「おお、大人」
「早速探しに行こうか! いざ、第五層エリアへ!」
私はチリンに続き第五層エリアへと足を運んだ。
※違う人の視点
巷では理想郷が話題となっている。
事の発端は掲示板。マグ・メルという理想郷を発見した人がいた。それでみんな見つけようと躍起になっている人も多い。
で、俺は第二層エリアの森の中。
深い森の奥になにかあるだろう。そう思ってきたのだ。
で、結果は。
「黄金郷!?」
黄金に光り輝く街が目の前に。
理想郷。エル・ドラードじゃないかな。
「これで俺も理想郷の力を!」
『ふむ? また異邦人か』
と、なんだか目の前の金ぴかに光るゴーレムがそう言ってる。
……今なんて言った?
またなんて言ったか?
「……俺が来る前に来た人いるんですか?」
『いたぞ。数日前にな』
なん・・・だと・・・
第一発見者にはなれない、んだ。で、でも祝福とかは?
「祝福ください!」
『なんじゃいきなり。エル・ドラードはすでに人の身に祝福を与えた。無理じゃ』
なん・・・だと・・・
『まあ、黄金はやろう。それを持って帰るがよい』
……俺の、理想郷……。
ゴールドさんは頻繁に姿かたちを変えてます。今度はゴーレムでした。
補足しておくと複数人で訪れたら訪れた人に祝福を与えます。ソゥたちが証明したように二人で来ると二人もらえます。ただし制限があり五人までしかもらえません。