ランダムスキルの書
私は王都に来ていた。スキルを買うために金をもって。
スキル屋にいって転移……ではないスキルの書を買うことにした。転移擬きならあの扉使えばいいしね。だから私は転移はいらなくなっちゃった。
転移のスキルを買おうと思っていたけど使い道ないし何かいいスキルないかなってね。
「ん? これなんですか?」
手に取るのは虹色に輝くスキルの書。いかにもスペシャルでーすって感じ。
「それかい? それはランダムスキルの書だよ。スキル一つがランダムで手に入るというものさ。これ限定のものや普通に手に入るスキルもあって、博打だねそりゃ。買うならおひとつ20万だよ」
うーむ。ガチャか。
博打というのは面白そうだし、人数分買っていってみんなでやってみようかな。
「これ19個ください」
20万×19だから三百八十万か。高いなぁ。所持金ギリギリだよ。
「お土産あるよぅ!」
ギルドに戻るとみんなが勢ぞろいしていた。
というか、ニルに関しては隣に知らない人がいる。
「この人ですか? えっと、ちょっと仲間になりまして」
「竜宮王国の姫、オトじゃ!」
……乙姫。
「乙姫さん。ようこそ。で、みんなにお土産」
私はテーブルの上にランダムスキルの書を並べる。
「これみんな一つずつ取って、みんなで運試ししようよ」
そういうと、いいねと乗ってきてみんな一つずつ手に取る。
私も一つ手に取る。虹色に輝く書がまぶしい。
「じゃ、いっせーので使おうか。いっせーの!」
《スキル:ヨハネの黙示録 を取得しました》
……はい?
な、なに? ヨハネの黙示録? それって終末を表すんじゃ……。こ、効果を調べてみようか。
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・ヨハネの黙示録
使用したプレイヤーの半径10m以内の敵モンスター、敵プレイヤーのあらゆる魔法を封じる。また、相手からのHP、MPを吸収効果もある。
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わぉ。ぶっ壊れ。
要するに敵の魔法を封じるというわけだ。私が一番敵対したくないスキル。まじかよ。これ手に入っちゃうかぁ……。これ、普通にやってたら手に入らないし、書限定のスキルだな。
「うわぁ。火魔法Lv.5だってさ」
「僕はフラッシュ……。日頃の行いかなぁ」
周りは少し落ち込んでいた。
「私は当たりのスキル。”俊足”ってやつ」
「……相性いいね」
マーヤは当たりのスキルを取得したらしい。
ソシャゲでいうとスーパーレアくらいだろうけど、あたりだろう。私のは多分SSRかUR。ガチャ運良すぎ……。
「あ、僕はなんかラグナロクっていう文字が……」
とニル。
……ニルも引いたの。
「お、私はハルマゲドンがきたぞ」
エルルゥ。君もか。
三人が当たりをひいたらしい。
……ちょっと試運転してみるかな。
ガチャは闇。
引きいいな……。運営にはまた望ましくない結果だけど。