不思議の国のミキ ②
なんで不可視の呪いが解けたのとか、ここはどこなのだとかいろいろな疑問がある。
それに王冠をかぶったウサギの王様。にんじんをぽりぽりと齧っている。
「にんじんうまっ」
突然話した。
いや、まずここどこ?
「失敬ながら見えるようにさせてもらったっきゅよ。不可視の呪いなんて変なのろいっきゅねえ」
と、のほほんと話し始めた。
「ここはウサギの楽園っきゅ。すべてのウサギが心地よく暮らす場所。外の世界のウサギは凶暴っきゅよねえ。ああ、ここ楽。マジ楽」
おっとりとしたウサギの王様。
私は何が何だかわからずただ茫然と突っ立っているだけだった。
「精霊様はウサギの楽園につながる穴を落ちたんきゅ。ここを抜けるにはちょっと遠いんきゅよね」
ということらしい。
抜けるには出口の穴を目指すらしい。そしてこの国に入ったからにはちょっと変わったことがある。それは私の頭にうさ耳がついたことだ!
どうやら、ウサギじゃないとここにはいられないようで王様がうさ耳を生やしてくれた。ウサギの基準がばがばだなあ。
「案内はぴょん吉に任せるっきゅ。お土産のにんじんよろしくっきゅねー」
と、私は王の元を離れ、元の世界に帰るために歩き出した。
ウサギの国だけあり、どこもかしこもウサギだらけ。
畑はにんじんしか栽培しておらず、メカウサギが侍ウサギと話しているところを見たらちょっとおかしかった。メカウサギってウサギなんだね。あれ機械じゃないの?
モンスター図鑑だとメカウサギは悪の機巧士にサイボーグとして開発され、その開発されたメカウサギが仲間をどんどん作っているとか。
メカウサギコロニーとかあるのかな。
「きゅきゅっ!」
「わかったぴょん♪」
というか、リアルバニーガール! うさ耳少女!
バニーガールっていいよね。一度ラスベガス行って会ってみたかったんだよ。バニーガール。
「きゅ?」
と、ウサギが何か察知したのか、足を止め、あたりをきょろきょろと見回してみる。
すると、上空になにやら見覚えがある人がいた。
「はーっはっは! 精霊神! 我が来たぞ! 友人であるカーリ様がな!」
邪神ちゃんが浮かんでいた。
どうやら察知したのはこの気配のようで、邪神ちゃんを見て怯えている。力の差を感じ取ったんだろうかね。
邪神ちゃんは私の元に降りてくる。
「うさ耳を生やした! 可愛いのじゃ~! 我の配下としてウサギ人間も入れるのはいいと思うのじゃ」
なんだか迷走してるよ……。
「ここはウサギの国ですからね。それで、カーリ様は何の用ですか」
「様なんていらぬのじゃ。もうミキは我より格上の神なんじゃから!」
あー、創造神になったよなぁ。
なんでなんだろうか。
「用っていうのは神の会合に出てみないかという提案なのじゃ。面倒じゃがこの世界を守っていくために必要なこと。我も邪神と言われているがそれは必要悪っていうものなのじゃ」
まあ、世の中正しいことだらけだと息苦しいもんね。
悪がいないと逆にまとまらないこともある。邪神ちゃんはその汚名をかぶったんだ。で、邪神として名前を広げようとしている。健気でかわいい。
で、神の会合とは?
「まあ、要するにこの世界の神様が集う会合なのじゃ。我も参加するし、アルテナ様も参加するのじゃ」
「へぇ……。まあ、それはウサギの国でてからでもいい?」
「いいのじゃ。そこまで急ぐことではないしの」
運営「あ、やべ。またフラグたった」