ミキちゃん・イン・インビジブル ②
どうやら私の姿は見えなくなったらしい。
どこぞの幻の六人目みたいなものではなく、本当に見えない。
「……たしかにいる」
チリンと手を繋いで確認させた。
透明人間ってなんかよさそう……って思うけどそうでもない。気付かれないから陰口とかも普通に聞こえるし、なんなら忘れられたりするんじゃないの?
「……これってもしかしなくてもこれのせいだよね」
と指さすのは転がったペンキの缶。
調べてみるとそれは”不可視のペンキ”というもの。塗られたものを一時的に見えなくさせるとか。効果は一日。
ずっと一日このまんま。
「……装備付け替えてみて?」
そう言われたので前の装備に変えてみる。変化はない。
「見えない……」
どうやら装備変えても見えないらしいです。
どうすんだよ私。見えないままでギルド運営できるのか……。
「……ドッキリとかできそうだよね。これって」
悪用もできる。
「……ドッキリ?」
「ドッキリ」
たとえば見えないことをいいことに殴って誰もいないとか。幽霊の仕業に見せかけたりとかね。で、私が現れて幽霊の正体みたり枯れ尾花ってか。
いや、丸一日このまんまだし種明かしできないけど。
「……ロトにだけ仕掛けてみるかな」
「なんでロトさんだけなの……」
いや、なんとなく?
ということで、透明人間のミキ。勇者ギルドに潜伏。
そのままギルドマスターの部屋に入るとロトは目をつむっていた。寝ているようだ。起こすのも申し訳ないけど、ちょっと面白そう。
まずしたことは乗っかってみた。
「お、重い……」
……制裁!
「い゛ッ……!」
女子に重いってなんだ!
鳩尾にパンチを決めてやったのでロトは苦しくて悶えていた。私は力ないしそれほど痛くないと思うけどね。
まあ、ドッキリはまだまだ続くさ。
続いてのドッキリ。
棚が勝手に開く。
「……だれだよ。って、ん? ひゃっ!? も、モンスター!?」
突然開いた棚にびびって剣を構えていた。
そしてすかさず棚の引き出しをオープン!
「ひょえっ!?」
ロトの反応がちょっと面白い。
で、腰抜かした時。
腰を抜かして最後の仕上げに入る。耳元に近寄って……。
「わっ!!!!」
と、少しだけ大きな声で叫んでみた。
勇者は、怖い怖いといいながらログアウトしていった。うん、なんかちょっとすっきり。すっきりしたのでこれくらいでやめておこう。
モンスターでも狩って時間経過を待つことにしようかな。この状態を解除してもらいたいしね。この状態でスキル何か手に入らないかな。このスキル、使い方によっては本当に便利だしね。
ミキと相性がいい理由
高火力の魔法が不意打ちでほぼ打てる。相手は死ぬ!