精霊神は静かに暮らしたい ①
私が精霊の創造神となって数日後。
巷で噂になっていることがあった。
「ねえねえ知ってる? 最近、トッププレイヤーばかりを狙うPKがでたんだって」
「ほんと? 私はトップじゃないし関係ないけど狙うっていうのはちょっと嫌だよねー」
「なによりPSがすごいんだってさ」
という噂だった。
トッププレイヤーばかりを狙うとは。何の目的のために? わからない。けど、私も一応用心しておいた方がいいだろう。私もトップには入るんじゃないかって思ってるし。
とはいっても、うまい人を狙うPKか。どんなもんなんだろ。
「どんな特徴かとか、名前がわかったらいいんだけどね。とりあえずブルーネームじゃない人間には気を付けろってことかなー」
私はそうゴチる。
……まあ、なんだか嫌な予感はするよ。例えば後ろから誰かついてきてるとか。いやだよね。だって武装してるんだもん。もうやりますよって感じの奴じゃないか。
しょうがない。応戦しますか。勝てるかどうかはわかんないけどね。
「天誅!」
と、私の首元めがけてナイフをふるう。
不意打ち。これで落としてきたのだろうか。
私はやすやすと躱す。造作もないことだよ。
「なにっ!?」
「わざわざ私を狙うっていい度胸してるよね。やってあげるよ」
「……そうこなくっちゃ」
男は構えた。鑑定してみると色が違う。つまりPKをしたことがあるということ。名前はマグダッド。忍者の格好をしてる男だった。
忍者ならクナイ使えよ……って思っちゃったけどね。
「あなたが忍びなら私は暗殺される殿様かな? じゃあ、ちょっとなり切るね」
こういうの、ちょっとワクワクするんだよね。
「控えおろう! 殿中でござるぞ!」
私の城の中。さァ、切ってはいけないんだぞ。
それでも謀反を翻すというのなら、私は応戦するまで。正当防衛……成り立つよね?
街中でPKに襲われた。
そして、今戦っている最中でもある。マグダッドは身のこなしが素早くて躱すのがうまい。攻撃を寸でのところで躱しているのは見事だと思う。
さすがにちょっとは食らっている。
「さすが精霊神……! キツい……!」
「きついっていうことはまだ勝てる確証があるってことなんだ」
「まぁね。勝てる自信がなくちゃ伊達にトッププレイヤー狙わんっての」
そらそうだ。
「”胡蝶の舞”」
と、男が投げたナイフが分裂し、空中に舞う。
私はなんとかガードするもののナイフが追ってくるのだった。追尾型……! なるほど。なら相殺するまでさ。
私は無数に光の玉を飛ばすが、貫通する。
……なら、これだ。
”魔物創造”
私はゴブリンを10体創り出し、ナイフを受けさせた。慈悲はない。
それにしても追尾型のナイフで魔法を貫通するってどういう仕組みなんだろう。魔法を貫通する技なんてなかったし、追尾型っていうのも初。
チート? いや、ないな。チート対策は万全らしいから。ならば、なんらかのスキルか。
どちらにせよ、相殺できないのはまずい。
「……運営でもないのになんで魔物が……。は?」
「は? って言いたいのこっちもだよ。どうやら、敵だと認識しなくちゃ……」
「あらら、今まで敵だと思われてなかった?」
「まあね。私は敵あまり作りたくないし」
「ははは、そうかい。じゃ、敵として俺も敵を倒すよ」
私の平穏はこいつによって乱された。
タイトルをジョ〇ョっぽくしたくてこの内容。