ワノ国
第五層エリアが解放された。
私たちは早速向かうことにした。第四層エリアを通り過ぎ、第五層エリアに通じる道を歩く。すると、私たちの目の前には日本の江戸……みたいな町があった。
江戸城がそびえたち、その下には城下町……。えっ、タイムスリップしたのかな。
あの江戸城には徳川家康とかいるの? 違うよね?
というわけで、新エリア、到達です。
街を歩いているとやはり江戸……というのか、着物を着た女性や男性が歩いている。まさしく江戸……って感じだ。
海も近いらしく潮風が私たちの横を通る。
で、一番不思議なのが、精霊が多い。精霊都市ファンタジアと近いからだろうか。
幼女がたくさんいる。かわいい。
「ここは異世界でいう東の国とかワノ国かな」
「そうじゃないかなあ」
いかにも和って感じの国だしね。
和の国。ワノ街? どちらでもいいや。日本に似た街ならなんとなくわかるかもしれない。ためしにあの城へ突撃してみるか。
「あの城見学してみようよ」
「えっ、打ち首とかならないかな」
「大丈夫……じゃないかな」
自信はない。
ダメでもともと突撃しに行こう。お城って見学したことないから一度見学したかったんだよね。私住んでるところお城ないし。
歴史を感じることはないだろうけどね。
全軍! あの城へ突貫じゃ! いや、攻め落とさないけど。
城に近づくと門番に止められた。
「何用か!」
「見学したいなーって。だめ?」
「ダメに決まっておろう! 大体、そなたらはこの街の住民でもないゆえに怪しすぎるだろうが!」
おっしゃる通りで。
私も家に「見たいから入っていい?」って人が来たら絶対入れたくないよ。
でも私はあきらめない。
「か弱い精霊神の頼みだと思って」
「……どこがか弱いんだろう」
チリンうるさい。
「精霊神を名乗るではない! 精霊神ミキとは程遠い……。銀の髪に青い瞳……。まっこと一致するではないか!?」
「まさか、本物であるか!?」
えっ、私の名前知られてるの? 大マジですか?
「はは! 精霊神様ならどうぞお入りくださいませ! そして、わが国の主に祝福を与えくださいまし!」
お安い御用ですよ。
精霊の祝福を徳川家康さんにやればいいんですね。いや、徳川家康さんかわかんないけど。もしかしたら綱吉だったり家光だったりするかもしれない。
誰だろう。徳川家……。
「ミキは入れるんだ……」
「精霊神様だから許したのだ。そなたらはきちんと手続きを踏まねば入れないぞ」
あ、手続きあるんだ。どこでするかわかんないけど。
「……お城。俺も見たい! 俺だめ?」
「だめである。手続きを……」
ごめんね。私だけは入れるようになっちゃって。
「私の連れだからいれさせることできないかな?」
「とはいわれましても無理なのです。神様ならばいざしらずなのですが」
神様ならいいんだ。神道に入ってるのかな将軍様は。
「ともかく、精霊神様以外は入れぬぞ」
「ぐっ……。この時だけ精霊神が憎い」
と、ニルがそう言っていた。
いや、ニルならさ。
「ニルなら進化出来たら入れるんじゃないかな」
「マジですか!? なら進化したいです!」
どうやら当面の目標はニルたちの進化になるかもしれない。