傭兵の魂は永遠に
第一回イベントはすぐに終わった。
私たちはまだ不完全燃焼……て感じもしなくはない。もうちょっとやりたかった、ような気もする。いくら調整とはいえこれはひどくないかな?
まあ、楽しいからいいんだけどもさ。
まあ、第一回イベントのことはもういいだろう。
問題は目の前の泣いている男の子だ。慰めに行けばいいんだろうが、問題はだな……。
《クエスト:傭兵の魂は永遠に を受けますか? はい/いいえ》
これがクエストだということだ。
まあ、受けるけど傭兵の魂ということは嫌な予感がしなくもない。
「ぼく、どうしたの?」
「……ぼくのっ……お父さんがっ!」
「君のお父さんが?」
「も、モンスターにやられたんだっ!」
話を聞くと男の子は重傷を負った傭兵のお父さんのために薬がほしくて頼んだけれどもどこも助けてはくれない。お金もないために、途方に暮れて泣いていた……ということらしい。
クエストの内容は泣きじゃくっている男の子の代わりに薬を用意して男の子に手渡すことが依頼達成条件かなあ……。
「おねえさんっ! 薬持っていたら……僕にちょうだいっ! お、お礼は……! 僕にできることなら何でもするから…!」
「うん。わかったよ。で、どの薬がほしいのかな?」
「回復ポーションの+5以上の値がほしいんだ。それじゃないとお父さんは……!」
「+5?」
回復ポーションって+とかあるの?
「お願いしますお姉さんっ! 店でもあまり出回らないらしいから……作らないと無理かもしれない……!」
「あ、うん。じゃあ、わかった。いつまで届ければいいのかだけ教えて」
「なるべく早くでお願いしたいけど……。二日! 二日後がお父さんの限界だと思う……!」
二日後、か。
じゃあ、ポーション作れる人に回復ポーション+5を作ってもらわないといけないのかな……。私作れるような知り合いいないんだけどもさ……。
数少ないフレンドに問いかけてみると一件だけヒットした。
ヒットしたというか、紹介してもらえることになった。カティさんから腕がいい錬金術師の知り合いを紹介してもらえることになった。
この前ふらっと立ち寄ったときに申請しておいてよかった! 持つべきものはフレンドだね!
で、今ローラースケートで滑走しながら紹介された店に向かっている最中なんだけれども。
私も有名になったのかとても声をかけられることが多くなってきた。無視したりはしているけど、なんか疲れる。有名アイドルの気持ちが少しはわかった気がするよ。
そんなこんなで到着しました。
中に入ると、何やら怪しい笑い声が聞こえてくる。まるで魔女が笑っているような……。
「ひっひっひっ……あら、お客?」
目の前の女性……というか背丈は女子中学生という感じでまだ中学校に上がりたてのような感じの女性が黒いローブを羽織っていた。
ぶ、不気味だ……。顔が見えない分余計に不気味に見える。
「いらっしゃい。ソゥの錬金術店にようこそ……!」
ひっひっひっと笑う女性。
私は恐怖心をあおられながらも、質問をする。
「貴方は、回復ポーション+5を作れますか?」
「ひ?」
最初は理解できなかったのか首をかしげていた。けれど、少し遅れて理解したらしく、かるーく、「作れるよ」と返してきた。
「作れるんですか!?」
「ひっひっひっ……当たり前さね。これでも私はプレイヤーの中では名の知れた錬金術師なのさ……」
「おお! ありがとうございます!」
「礼には及ばぬさ……。だけどその代り金はいるぞ? +5の回復ポーションを作るだけでも結構な手間なのでな」
「あー、今の所持金で足りるかな……」
第一回イベントの時にMPポーションを購入して金がなくなっている。
一応コツコツ貯めたカモシカ貯金(カモシカの素材を売って金にした)はあるけれど、それで足りるかどうか……。
「足りなかったらお前を蝋人形にしてやるわい」
「閣下!?」
「嘘じゃ。足りなかったらその分働いてもらうでの」
そ、そういう風になるのね。了解した。
「じゃあ、それでいいんで作ってください」
「任せるのじゃ……っと、フードが」
フードが、落ちた。
顔が見える。その顔は、とてつもなく整っていた。髪は銀色に染めてはいるけどものすごく似合っていて、背も高い。そして、私が声を上げてしまうのも無理はないほど、とても知っている人だった。
「あ、ああ、貴方もしかして女優の……!」
テレビドラマなどで活躍する女優の生出 真野だった。
実はこの作品での作者のペンネーム"マヨネーズ総帥"には派生する名前がいくつかあるのです。名前に良かったらどうぞ!
・ケチャップ総統
・ソース元帥
・ドレッシング首相
・ラー油総裁
・しょうゆ大統領
・コショウ書記
・ソルト国家主席
・シュガー大王