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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第四層エリア 【精霊は無邪気に笑う】
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閑話 マーヤと第四層

 時は十分前にさかのぼる。

 ミキが騒動を解決し、その場から離れたあとだった。




 私の番か。

 この店は人気のある裁縫店。どうやらオーナーはオーダーメイドも受け付けているというので先日のお礼も兼ねてミキにプレゼントを贈ろうと思ってきた。

 購入していく人は多数いて、主に女性客が多い。


 「さきほどはどうもありがとうございました。たまにあのようなお客が来られるのですよ」


 たまにプレイヤーキルが訪れる店ってどうなの?

 まあ、これだけ人はいるし大衆の面前で堂々と人を殺したいという願望があるかもしれないけど。私なら誰もバレないところでPKをする……。まあ、私の話はいいか。


 「そう。で、私はオーダーメイドを頼みたいんだけど」

 「はいはい。先ほど解決してくれたこともあるのでお値引きさせていただきますよ~」

 

 それは嬉しい。ちょっとは稼いできたけどまだ心もとない所持金だ。


 「一番いい精霊装備を頼みたいんだけど」

 「一番いい……となると、精霊王装備か。あなたは見たところ暗殺者のようですが魔法使われる方にプレゼントするので?」

 「まあ、そんなとこ」

 「わかりました。ですが精霊王装備となると値引いても結構なお値段となりますが」

 「いくらになる?」


 結構なお値段か。払えるかどうかは微妙なところだ。

 オーダーメイドは前金を渡し出来上がったころに前金を差し引いた金額を渡すらしい。前金がいくらかによって払えるかは決まるかな。


 「まず素材集めが大変なんですよ。もちろん素材を持ち込んでいただけるのならその分費用は掛かりません。確認ですが第四層にまでは到達しておりますか?」

 「してない」

 「そうですかぁ……。なら持ち込みは不可ですね。わかりました」


 なるほど。素材に第四層の素材を使うんだ。


 「必要なのは狂った上級精霊のレアドロップの精霊の御心みこころが計四つ。そして、高純度のMPを保有した羽根…そうですねえ。回復できる量が100以上あればいいでしょうか。そのモンスターは第四層にでてくるハミング・フラミンゴが稀に落とすのです。レアドロップしか使わないのでうんと高くなるんですよ」


 へぇ。


 「羽だけ持ち込みっていうのはできる? 一人心当たりがある」

 「はい。可能ですよ」

 「ならお願い。金額はいくらになる?」

 「そうですねえ。羽だけ差し引いても依頼料というものもありますから……。ざっと30万ちかくになるでしょうかね」


 足りない。五万あれば足りるだろうと考えていたけど足りない。


 「ですが先ほどのこともありますので五万値引きまして25万。前金として10万いただけますでしょうか」

 

 ……五万足りないか。


 「いえ。手持ちにないのでやっぱり諦め……」


 ……いやまって。私はモデルだから、広告もさせてもらえたらまだ値引いてもらえないだろうか。

 ちょっと話してみる価値はあるかな。


 「店主さん。もう少し値引けない?」

 「これ以上は採算的に……」

 「私はモデル。あなたの店の服を着て広告もできると思う」

 「なんと! ……あ、真綾さんにそっくり! 真綾ですか! 私ファンなんですよー!」


 どうやらファンの子みたいだ。


 「どう? 私が広告塔になるから前金を五万にしてもらえる?」

 「はい! 金額も20万でけっこうですよ! 私がデザインした服を着てもらえるなんて嬉しいなあ!」


 交渉成立。モデルであることが助かった。


 「じゃあ、これ前金の五万。あとで羽根をもってくる」


 多分羽根ならば、ミキからもらえればいいだろう。

 ミキの羽根は回復効果もあるといっていた。本人の魔力に応じて回復量が変わるらしいからもしかしたらいけるかもしれない。


 とりあえず、装備が完成するのを待つのみだ。

 私はなけなしの金になってしまってるし残り15万。集めていこうか。








 で、私はもう第四層まで駆け抜けていこうと思った。

 レベリングはしてもらったとはいえまだ10にも達していない。暗殺者は経験値がたくさん必要となる。その代りに一撃必殺の技が多い。

 即死付与……といって急所を突くと即死する。対プレイヤーなら簡単だが、モンスターによって弱点は異なる。人型の場合は多くは首と左胸部だ。


 「ギャオォォォ!」

 「甘い」


 第一層エリアボス、ゴブリンキングの首元を狙う。

 でかい図体をしているが首が弱点だろう。そこにナイフを突き刺し、一撃必殺。


 遠距離攻撃を持っておらず必ず至近距離に近づかないといけないっていうのも辛い。投げナイフとかは技にあるけどあれには即死は付与されないからね。


 「ゴブリンキング。意外と楽勝だったね」


 呆気なく終わったので第二層。

 第二層はエリアボスがいない代わりになにやら試練というものがある。その試練はランダムであり今回私に課せられた試練は時計塔の復刻作業の一環である時計の針をもってこいとのことだ。


 これはフィールドボスであるクロック・オウルのドロップ品。倒して持ってくればいいらしい。


 機械のフクロウの弱点はどこなんだろう。回る首か?


 で、倒してもってきて第三層。

 第三層は不気味。幽霊が出そうだった。ここが一番苦戦したけれどボスまで行けたらそこまで大したもんではなく、ボスも簡単に終わった。


 そして、第四層。


 意外とラクチンだった。こんなに簡単なの……?










簡単じゃないんやで……! 少なくともミキみたいなPSがないとそこまでラクチンにいけないんやでぇ……!

マーヤは恐れを知らないから近づいていけるんでしょうね。まず的確に首を当てるなんてことできないから普通……。急所着いたら即死だけどあれだよ? 判定結構狭いよ? わかってる? マーヤさん。

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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