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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第四層エリア 【精霊は無邪気に笑う】
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意外な展開へと

 裁縫士ー、裁縫士のかたはいらっしゃいませんか~。

 時給は破格の1200円、お仕事は私の防具を作るだけと簡単な作業となっております。もちろん材料は自前で用意させていただきますしアットホームな仕事環境ですよ~。


 なんて、声をかけたいけどブラック臭がすごい。特にアットホームって言葉が。


 「ぜひともうちのギルドに勧誘はしたいな。だって私だけいるってわけじゃないと思うし」


 裁縫士ギルドとかないのだろうか。


 「前みたく騒動起きてそれを解決したところが裁縫士の店だったりしないかな」


 と、望みを唱える。ま、その望みは叶うはずもなく――


 「ちょっと。やめてください!」

 「PKが店の中に!いいいいいい!」


 あるのかよ……。

 まあ、騒動は解決してあげよう。通り過ぎるのはなんか嫌だしね。


 「……はぁ」


 ん? 聞いたことがある声だ。

 その人のほうをみると、案の定知っている人。というか、最近ギルドに入ったばかりのマーヤがそこにいたのだった。

 マーヤはナイフを構える。相手のレベル差があるけど大丈夫なのだろうか。ちょっと心配だ。


 「人気店は人が多くて嬉しいねぇ! 今度はお前だあぁぁぁぁ!」

 「……面倒をかけるなんて、あんた、つまらない」


 と、マーヤは、一瞬で首筋にナイフを当て、そのプレイヤーをキルしていた。

 レベル差は20あったけど一撃? もしかしたら暗殺者って急所あてたら即死だったりするのかな。人間の急所って首と左胸部だし。


 まあ、マーヤのおかげで騒動が解決したようだ。


 「マーヤ」

 「ミキ。どうしてここにいるの?」

 「いや、防具を新調しようかと裁縫士を探してるんだ」

 「そう。私がプレゼントしようかと思ったんだけどね」

 「そ、そうなの?」

 「お礼。まだしてなかったからね」


 別に気にしなくてもいいのにね。

 マーヤは律儀なようだ。


 「ならありがたくもらうよ。マーヤ」

 「素直に受け取ってくれて助かる。遠慮されるとちょっと面倒だからね」


 ははは。遠慮はしないほうがいいんだよ。もらえるものはもらっておく。

 まあ、お礼だというならもらうほかあるまいて。


 「うん。楽しみに待ってるよ」

 「……うん」


 私は、その場から離れた。

 マーヤが持ってくる装備をあてにしようか。プレゼントは使ってこそ意味があるからね。どんな装備がか、楽しみだ。

 






 ギルドに戻るとガイが慌てたように誰かと喋っている。

 どういう人なのだろうか。ちょっと悪いけど聞き耳を立ててみよう。


 『精霊神はいない?』

 『は、はいっ。いませんっ! でかけておりましてっ!』

 『そうか。依頼があったのだが。伝えておいてくれるか?』

 『かしこまりましたっ!』


 どうやら依頼があるようだ。


 「帰ってきましたよぅ。依頼者のかたですか?」

 「あ、ミキさん!」

 「ほう。あなたが精霊神ですか」


 と、舐めまわすように見てくる男。ちょっと気持ち悪い。


 「すいません。どのような人物かと思いまして見てしまいました。不快感を与えたなら申し訳ない」

 「あっ、いえ」

 「実は依頼がありまして。私は商人のギールと申します」


 ギール。なんだか不安な人だ。警戒だけはしておこうか。

 なんだか、この人は嫌な予感がするし、見極めてみようか。信用できないと依頼を受けない。


 「はい。で、私に依頼とは?」

 「はい。単純なことです。私に祝福をかけてほしいのですよ:


 祝福、ねえ。


 「理由をお伺いしても?」

 「そうですねぇ。嘘をついても仕方ないので本当のことを言いましょう。まず道中に危険な魔物が出るので少しでも私の命のためにですね」


 ふぅん。ちょっと怪しいけどスルー。


 「もう一つに精霊神という箔を私につけることですね。王国でも精霊神の名は知れ渡っておりますしその人からの祝福を受けたとあらば商品が好調に売れること間違いなしというわけです」

 「ふぅん。ちょっと聞きたいけど、祝福をかけるより腕利きの戦士を雇えばいいんじゃないですか? そっちのほうが断然安心でしょ」

 「腕利きの冒険者も用意しておりますが万が一のためですよ」

 「なら転移魔法陣を使えばいいのでは」

 「そういうわけにもいきません。コストを考えて馬車での輸送のほうが安く済みます」


 ま、転移魔法陣を使用するのはちょっと値段的に気が引けるよね。


 「……まっ。いいでしょう。ただし、本当の姿を見せてくださいな。それって、ただ演じてるだけですよね」

 「……聡いですね。その通りです」


 おお、なんとなく言ってみただけなんだけどそうなんだ。


 「では、ここからが本当のクエスト依頼です」


 《ワールドクエスト:商人の夢物語 を受けますか? はい/いいえ》


 は? ワールドクエストだって?









なぜボスを倒してもいないのにワールドクエストが……。

理由は作中ででてこないと思うので言っておきますがワールドクエストは一個ではないのです。複数あるんです。これが正解です。

世界情勢が単純なわけがないようにこの世界も単純ではなく複雑に絡み合っています。


なお、この商人はどこのギルドにも訪れます。真の姿を見抜けた者がワールドクエストを開くことができます。なお、このアナウンスは全プレイヤーに伝えられ、頼まれた受注者しか受けられません。

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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