装備を新調したい
「私も精霊の守護者に加入する」
そうマーヤが言ってきたので素直に入れることにした。
17人目となるのかな? もう入れる気はなかったけどギルマスの特権を行使させてもらった。マーヤは真野ちゃんのファンだから……。私の仲間。
17人目の仲間、マーヤが仲間になった!
レベリングをしたとは言えまだ10もレベルを越していないからな……。暗殺者ってものすごく膨大な経験値が必要らしいし上げにくいだろう。
そして、今現在。
ギルド内には私と受付に残されたガイしかいなくなった。他はクエストを受けたりログインできなかったり、昇級試験をしにいったりしていた。昇級試験は戦士から傭兵になったチリンみたいな風になることを指す。
私は無職だしその心配はない。
ま、私も私でやりたいことがあるんだけどさ。
で、ローイさんの元を訪れました。
用件は防具の新調。下級精霊装備だと防御力が心もとない。先日のイベントがいいキッカケとなったので本格的に動き出そうと思う。
「無理だな」
と、ローイさんに話をするとそう言われてしまった……。
「な、なんでですか?」
「精霊装備が布地だからだ」
「それだといけないんですか? この装備は作れてたしいけるのでは……」
「俺は裁縫も少し取っているからできただけだ。魔法使いなどの布地の服しか装備できない人は鍛冶では生産できねーんだよ。鍛冶は鉄を扱うからな。下級精霊装備にも多少の鉄を使ったとはいえ基本的には布地だ。上級となると鉄がいらなくなるし俺らは手出しできねーんだ」
とのことだった。
となると、探すべきなのは裁縫士……? 私裁縫士の伝手なんてないしなあ。私自身が取るっていうのも一つの手かもしれないけど上級作れるまでには一体何日かかるだろうか。
「俺も裁縫士の伝手はねーしなぁ。カティは知らないかね」
「カティさんに聞いてみます……」
腕のいい裁縫士をほしい。
そういえば、魔法使いの防具を作ってくれる人はいなかった。サンは鍛冶士なため戦士用の装備しか作れないし、ロックたちは普通に購入してたな……。
購入……っていう点もあるだろうけど、やっぱ市販品はね。
プレイヤーズショップにあったりしないかな。
まあ、カティさんに相談してから決めようとは思うけど。
「おう。俺もカティと相談したいことあるからついてくぜ」
「はい!」
「私もないわよ裁縫士の伝手」
と、カティさんがそう告げた。
「たしかに木工でも布を使うけどそれはレベルが低い布切れでプレイヤーズショップで購入できるからいらないのよね。決まった店から買うわけじゃないし伝手はないわ」
とのことだった。
一から探すとか……。
「それよりローイ。頼んでいたものはできた?」
「おう。ばっちりよ」
「そう。出来もいいわね。さすが……」
「よせやい」
ローイさんとカティさんが何かやり取りをしていた。何をしているのかが気になる。
「じゃ、これにくっつけて渡すわね。ちょうどいるし」
「おう」
といってカティさんは奥に進んでいった。
なにをしているんだろうか。そう考えていると奥からカティさんがやってくる。そして、アイテムを渡された。
「これ防犯に使いなさいな」
《機械蜂の巣を受け取りますか? はい/いいえ》
なにこれ。
「巣は私たちが作って機械蜂はローイよ。これがあれば防犯に使えると思うわ」
「えっと」
「あなたの指示に従うようにしているわ。これをあなたの部屋の前に置いたらギルド員や私たち以外は誰も通れなくなる。森だし蜂とかいてもおかしくないわよね」
「そうだぜ。いつギルドに乗り込まれるかわかんねえし設置した方がいいと思ったんだ。頼まれてもねーもんだけど受け取ってくれや」
防犯か。たしかに必要だよね。
ありがたくもらうとしよう。
「私たちも独自に作りたいもんつくってるから気が向いたらまた来て頂戴な。あとそれと、ギルドに家具はいらない? 作れるわよ」
「あー、ならタンスとクローゼット、ハンモック、あと女神像がほしいですね」
なぜこのチョイスか。
タンスとクローゼットは普通に剣とか収納することができるらしい。手持ちに入れられるのにも限りがあるためだ。
これはどうぶ〇の森をちょっと彷彿とさせる。
そしてハンモック。それは単純に私の趣味。静かな泉の湖畔でゆったりと過ごしたい。
そして女神像。これは泉の真ん中に設置するのと、ギルドを守るお守りとして。
「女神像は石のほうがいいわよね? なら腕のいい石工に依頼するわ。他はできるから」
「石工なら俺ができる。俺がやる」
「あら。いつのまに取ってたの?」
「俺は多趣味だから生産系全部取得を目的としてんだよ」
意外とローイさんすごいな。
さてと。じゃ、私は裁縫士を探すとするよ。
やっと装備を新調させようと頑張ってます。