マーヤの想い
ちょっと意外だった。
「あんたんとこのペアが一撃あてたとはね」
「すごいでしょー? ふふん!」
鼻が高いのか胸を張るハルカ。
私はナイフを構え、ハルカに近寄る。暗殺者は近距離攻撃が多く、遠距離となると飛び道具を使うほかない。ただしどの武器も一定以上にはつかえる補正がかかり、弓矢、ハンマーなどを武器にもできる。
そして、プレイヤーには弱点が存在する。
それは左胸部と首。左胸部は心臓がある。首には脊髄か。そこが急所でありナイフなどは弱点を攻撃すると大ダメージを狙えたりする。ただし、そこ以外を狙うとあまりダメージにはならない。
弱点特攻しなくちゃいけないということで不人気の暗殺者。いわば、上級者向けの職業だ。
「ハルカ。ごめんね」
「へっ?」
私は、ハルカの首元を掻っ切った。
そして、エフェクトが飛んでいく。血は全年齢対象なのででない。ただ斬られただけ。そして、ハルカが倒れる。
《ハルカが倒れたあああ! この三つ巴合戦! 勝者はマーヤ、ミキペア!》
控室に戻るとハルカとミユキがいた。
「けっ。なんであんたなんかが」
「おめでとおーーー!」
別に。嬉しくはない。
むしろ、ミキが称賛されるべき。私はただ一人しかやっつけていない。それで優勝だといわれても困るだけだ。
「そんなことよりミユキ。私が勝ったから、訂正してくれるよね?」
「ぐっ……。わかったわよ! 真野ちゃんのほうが可愛い! これでいい?」
「はぁ。やっぱあんたって好きになれないね」
「こっちもよ!」
私はミユキが嫌い。
自分が一番だと思っている。正直、真野ちゃんのほうが可愛い。私も真野ちゃんに憧れて入ったし真野ちゃんを馬鹿にするのはどうも許せない。
ミキも真野ちゃんのことが好きだといった。同志。
「ま、まあまあ! 喧嘩しないのー! めっ、だよっ!」
「ふん」
「ふーんだ」
私は控室から出てミキの元に向かう。
私はこれからもA2Oを続けるつもり。ソロプレイでもいいけど、真野ちゃんが入っている精霊の守護者のギルドにぜひとも入りたい。
ミキもいるし、真野ちゃんもいる。
「…………」
私は自然とスキップをしていた。
はっと我に返り、ちょっと恥ずかしくなって顔を覆う。
「私はなんで嬉しそうにしてるんだ……。スキップなんて私らしくもない」
私はキャラを作っているわけじゃない。普段からこの感じ。みんなからはお高く留まってるとかクールぶってんじゃねえだとか目つき悪くてよくモデルなれたなとか言いたい放題言われている。
私は、仲良くしようとしているわけじゃない。学校はあくまで勉強のため。モデルは仕事でしかない。もちろん真野ちゃん目的だけど。
……趣味というものは、なかった気がする。
今度からは、ゲームを趣味にしようかな。なんて言ってさ。
「クールビューティとはあのことか」
「うわ、あの目とかやばくね? 超かっこいいんすけど」
「ああいうのに限ってちょろかったりするんだよ」
ちょろいだって?
それは聞き捨てならないな。
「私はちょろくない。いいな?」
「は、はひっ」
それでよし。
だけどまあ、ちょろい、か。案外そうなのかもしれないけど、私は認めたくないな。
「……何も持たずに行くのは失礼か。お土産でも購入していこう」
アクセサリーなど、ミキには似合うんじゃないだろうか。
作者マーヤちゃんものすごく大好きです。クール系が好きなのもありますけどね
あと大ダメージはだいたい即死だと思ってください。
この回でする話じゃないと思いますが第四層いつ終わるか悩んでます。ボスすら考えついてないのになんか第五層の設定思いついちゃって…