モデル三つ巴合戦 ②
マーヤがかけていく。狙いはまず新庄に決めたようだ。だけれどもロトが彼女を庇い、マーヤは素直に引く。
ロトがいる限りミユキには攻撃できないのでは?
「バトルロイヤルって一番私苦手なんだけど……」
そう小さい声でこぼした。
まずは一人一人潰していこうか。オルフ。君からやってもいいかな?
「”月の波動”!」
月の波動というのは相手の素早さを下げる効果を持つ。当てにくい相手にはこれを使う。
すると、ロトたちの動きが鈍くなった。私は阿修羅化をして自分の翼の羽を一つ剥ぐ。それを摂取しMPを回復させて魔法を連射。
自分自身がMPポーションとなれる今、MPが尽きることはまずないと思ってもいいだろうな。
「な、なにそれ……! 聞いてないわよ!」
「ミユキには言ってないからね。さ、ミキ。やっちゃって」
「了解」
ミユキには容赦はしないと決めていた。真野ちゃんをバカにしやがって……!
全身全霊をかけて倒してやる。
「俺が相手をしてやる!」
「……ロト。どけて? 私はね、個人的にミユキに恨みがあるの。貴方まで巻き添えになるけどいいの?」
真野ちゃんを馬鹿にした恨みは忘れない。真野ちゃんの無念を私が晴らす。
「うぐぅ……!」
「あ、あなた勇者なんでしょ!? 頑張ってよ!」
「だけどよぅ……!」
「お願い……!」
ぶりっ子が……!
いいでしょう。まとめてやってやる! お詫びはあとでするし、多少の犠牲はつきものだと思うからさ……!
さァ、闇のゲームの始まりだぜっ!
「”波動砲”」
これは光魔法の派生から生まれたもの。マーヤのレベリングをしているときに偶然入手した技。
もともとはかめは〇波打てないかなって思ってなんとなく似た技を考えてみただけなんだけどね。MPの消費が激しい分、この魔法は強力だった。
ロトの体力を一瞬で削るくらいには。
その代り、私もMPがものすごく減る。もう10分の1くらいしか残らない。阿修羅化したらまずうてない大技。披露してあげた。
翼から羽根をもぎ回復。全回復とは言わないが私のMPの半分は回復できる優れもの。二個摂取したら完全回復する。まあ、この羽根は使用制限があり、10回もぎ取ったらMPを注入しない限りとれなくなる。10個つかって回復してそれでまた回復……というのもできない。注入分はフルMPを消費するために回復して入れても無意味となるから。
残りはあと八回。十分な数だ。
「さて、ロトは退場……! 残りは君だけだよ?」
「ひ、ひいいいい!」
私は魔法を放とうと……。
うぐぅ! 痛い!
私の脇腹に矢が刺さっていた。放った人を見るとオルフだった。
油断していた……! 初めて当たったんじゃないだろうか。
って、なんだこれ。毒?
毒矢か。つまり、時間が決められたか。解毒ポーションはあいにくない。今の体力は半分を切った。てか、瀕死。矢一発でこんな減るとは恐るべしというわけか。
「ど、毒矢を最大威力で放った……! あとは耐久戦だぜ!」
最高威力でこれか。なら防御あがっている今はいい防御というわけか。相変わらず体力は少ないけどね。
まあ、私の目的はミユキに成敗を下すことだけ。他はいらない。
「ミユキ。最後に言い残すことはある?」
「ば、化け物!」
「……化け物か」
容赦はしない。模倣太陽を創り出す。
そして、それをぶつけてあげた。
《ミユキ、ロトペア退場ーーーー! やはり精霊神には敵わない!》
そういえば集中しすぎて実況が聞こえていなかったな……。
それにしても一発、もらっちゃったのはでかい。マーヤ一人でやれるとは限らないし、オルフだけやっておこう。あと、一分で私は死ぬと思うから。
「精霊魔法”風”」
かまいたちのようなもので攻撃をした。
一発でオルフは倒れる。
《オルフがキルされた! 優勢となったのはマーヤペア!》
あ、もうダメかも。
《おっとおおおお! 意外な展開! ミキがなぜか倒れたァ! さきほどの矢になにか塗られていたのでしょうか! おおよそ毒! 毒で命つきましたァァァ! 一騎打ちとなりました両者! 睨みあうッ!》
騒動:ミキが攻撃を受けただけ
真野ちゃんを馬鹿にしたらミキがぶちぎれます。キレたミキはチリンですら止められないことが多数なので近づかないようにしましょう。
ミキが切れると周りが見えなくなります。そして性格も豹変し冷酷になります。いわば逆鱗に触れちゃったって感じで。こわっ。真野ちゃん狂信者かよ……。
あ、やべ。今の言葉ミキに聞かれてた。