ミユキとの遭遇
マーヤも新庄のことが嫌いだとか。
「上に媚びへつらうのが気に入らない」
とばっさり。
どうやら深間のことは気にしていないらしく、あの子もあの子で可愛いしいいんじゃない? っていう感じ。気に入らないのは新庄だけらしい。
マーヤ曰く、見た目だけとのこと。
「ふぅ。依頼完了」
「それじゃギルドに報告しよう」
暗殺者クランとか狩人クランがあるらしく職業クエストや依頼はそこにあるらしい。
マーヤはその中のゴブリンの首をはねてこいという単純な依頼をこなしていた。ゴブリンは第一層の森の中で遭遇する敵。私はあまりいったことないけどね。
「あれ、マーヤさん」
「……ちっ」
舌打ちをして顔をそらした。
話しかけてきたのは……私も知っている。金髪の髪に小動物を思わせるような顔立ちの彼女は新庄 深雪。ミユキというPNでプレイ中の彼女だ。
「もうペアを見つけたのですか? お早いですね」
「…………」
「私、マーヤがどんな人とペアを組んだか気になります! よければお話を一緒にと」
「しない。ミキ。いくよ」
あ、そうそう。精霊神呼びからミキ呼びに変えてもらいました。
「はーい」
「えっ。お話くらいは……!」
「あんたに割く時間がもったいない」
「そんなっ……! ひどいですぅ……!」
と、泣きまねをしている。私からの同情を買いたいだけだろう。
嫌なやつだ。
「泣きまねなんて小賢しい真似するな……! そういうのがうざいんだよ……!」
「真似だなんて……! あの、ペアのかた! 私の話を聞いてくれますよね……?」
「私に聞かないでよ。私も聞きたくない」
誰が真野ちゃんを馬鹿にするような奴と話すか。ぬいぐるみと話していたほうがまだ有意義だわ。
そんな安っぽく同情を売って私を揶揄うのはやめてほしい。私はそんなんで心が揺れ動くわけがないからさ。
「……使えねーな」
「……あんたの魂胆は見え見えなんだよ。あんたならいいの捕まるんじゃない? ま、ミキが一番だろうけどさ。さ、いこうか」
と、マーヤに引っ張られ、その場を後にした。
※ロト視点
俺は素材を集めるためにゴブリンが生息する森にやってきた。
すると、ある人に出会う。今回のコラボのモデルさんのミユキ。ひとりでぽつんと立っていた。
「どうしたんですか」
俺は声をかける。すると、涙を浮かべていた彼女。
なにかあったんだろうか。モデル同士の喧嘩? なにか心無いことでも言われたのだろうか。アンチの人に暴言を言われたりとか?
「貴方は……誰ですか」
「俺か? 俺はロトです。勇者をやってます」
「勇者……。そうですか。貴方にお願いがあるのです」
「お願い?」
「私と、ペアになっていただけませんか……?」
と、抱きつかれて懇願された。
快く引き受けた。