三人のモデル
新たなニュース。
A2Oがこの度終了する……わけじゃなくて、雑誌とコラボするらしい。10代に人気のファッション雑誌”NONNO”から三人のモデルが公式としてゲームをプレイするということ。
そして、NONNOから出されるモデルは。
深間 春香。
中村 真綾。
そして、新庄 深雪の三人だ。今日からコラボするらしく、三人のログインする姿を一目見ようと噴水広場にはステージが作られており、そこから登場するらしい。
正直、私は三人ともに好印象を抱いていない。
他の二人は知らないけど、新庄だけは許せない。自分が真野ちゃんより可愛いって? うぬぼれるなって話。私からはものすごくヘイトが溜まってるからね?
多分、これ以上バカにするなら世間に嫌われる覚悟でPKも辞さないレベル。
と、三人がログインしたようだ。
「どうもー! 深間 春香! プレイヤーネームはハルカでーす!」と裏表なさそうな笑顔でいうのは深間。
「中村 真綾。プレイヤーネームはマーヤ。よろしく」とクールなのが中村。
「どうも! みんなのアイドルの深雪だよっ♡私は下手だから、みんなに教えてもらいたいなっ」
……うわっ。露骨。
騙されている人もちらほらとはいる。女子はみんな睨んでいる。なぜこの人にしたし。他の二人は受け入れることができると思ったんだけどなあ。
「……さてと。私はもう行くね。ちょっと会いたい人いるし」
と、ステージから降りたのは中村。
彼女が歩く道は開かれていく。まるで近寄ったらダメっていう感じに。だが、凛々しくてかっこいい。顔も整っているし、私とは大違いだ。
「……そこの人。ちょっといいだろうか」
と、私に声をかけられた。
「はい? なんでしょう」
「貴方、もしかして精霊神様?」
「あ、そうですけど」
「やはりか……」
と、彼女は、こほんと咳をする。
「……会いたかった。精霊神様」
……はい?
中村……マーヤでいいや。
マーヤは公式サイトを見ていて、私のことが目に留まったらしい。私のことが好きになったらしい。あ、同性愛のほうじゃなくて。
「あなたは生出の友人とも聞く。そんなあなたに興味を持った」
「えっ、知ってるんですか?」
「生出から聞いた」
真野ちゃん言ったんですか。
「生出は楽しそうに仕事をしている。これはあなたのおかげ。ありがとう」
「あっ、いや、お礼を言われるほどじゃ」
「ゲームするのが楽しいって言ってたんだ。前までは辛そうだった。たぶん、うちのモデルのせい。それは謝りたい」
頭を下げるマーヤ。
この人はいい人だ。やっぱり新庄だけ気に入らない! 真野ちゃんをバカにしやがって……!
「私も前からこのゲームやれたらよかったんだけどね。忙しくて買いに行けなかった」
で、やれなかった。その時にこの仕事をもらったからやろうと思ったのか。
「貴方は、人を変えるほどすごい。私は、そんなあなたに興味を持ったんだよ」
そんな。そういうほどじゃない。
私はただ真野ちゃんが好きなだけだ。一途な愛が通じたのだろうか。
「……そこで、頼みがある」
「頼み?」
「私と一緒に、ペアを組んでくれないか」
「ペア?」
ギルドに入るじゃなくて?
作者このごろよく鼻血がでます。で、手と衣服が血まみれになります。学校で廊下に大量の血を落としたこともあります。殺人事件の現場みたいだった……。
ブクマが1000を突破しました。細々と文字数が少ない作品ですがよろしくお願いします。