修学旅行(北海道) ③
邪神カーリ。それが今の我の名前。
様々な種族が入り混じる世界を混沌へと堕とし破壊する。世界の滅亡が我の目的。
我は誰もが慄き、恐怖を感じ、怯える。
史上最悪最低の邪神。……のはずなんじゃが。
なぜか、邪神教というものが出来ておるのじゃ……。我は崇められるような存在ではないぞ! なんじゃ邪神ちゃんって! 威厳もへったくれもないではないか!
邪神ちゃんなど呼ばれては我の威厳が廃る。
我はその邪神教を潰してみた。
「邪神ちゃんに潰されるとか本望でしかねえ」
「邪神ちゃん今日も可愛いよhshs」
「邪神ちゃん邪神ちゃん邪神ちゃん邪神ちゃん」
気持ちが悪いほどに我を好んでおる!
あああ、我は威厳がほしいのじゃーーーーー!
……待てよ?
そういえば、最近強大な力を持つ神がおったような気もする。精霊神……といったか? そいつを討ち取れば邪悪なるものとして人々に恐れられるのでは……。
じゃが、あの精霊神は我より恐れられてるという。いっちょ、威厳の出し方を聞いてみるのもいいのかもしれぬ。
よし、聞いてこよう!
邪神ちゃんと呼ばせぬために!
※ミキ視点
私が狩りをしていると、なにやら私たちのほうに光が飛んでくる。光というか、黒い光。
それが私の目の前に立つ。そこには、幼女がいた。
「精霊神! ここで会ったが百年目! なのじゃ!」
……誰、だっけ?
この子、どこかで会ったことあるっけか。
てか、そろそろログアウトしようと思っていたんだけど……。
「邪神カーリ……!」
「ふむ、我の名前を憶えておるとは。貴様も我に恐怖を抱いていることだろ……」
「いや全然」
チリンが速攻で否定した。
「……恐怖を覚えるじゃろう!?」
「いや全然」
「恐怖を「いや?」うわああああん! 精霊神! こやつが我をいじめるのじゃー!」
何この子。可愛い。
思い出した。邪神ちゃんか。邪神ちゃんが何の用だろうか。
「ひぐっ……! 貴様なんて嫌いじゃー!」
と、飛んで私の肩の上にのる。幼女を肩車……悪くないな。うん。
「邪神様。それで何の用でしょうか?」
「うむ! 精霊神に折り入って頼みがあっての!」
「頼み?」
「我に威厳を! みなから恐れられるような威厳を! 精霊神のように恐れられるようにさせてほしいのじゃー!」
と、叫んで暴れている。私の上で暴れないでって。
てか、私好き好んで恐れられているわけじゃないからね!? 周りが勝手に恐れてるだけだからね!?私は温厚だし危害を加えるつもりとかないからね!?
「もう邪神ちゃんなどと呼ばれるのは嫌なんじゃー!」
《クエスト:邪神ちゃんなんて呼ばせない を受けますか? はい/いいえ》
……。どうしようか。
邪神ちゃんなんて呼ばせない。いや、受けてみるけど……。邪神ちゃんなんて呼ばせないことができないと思う。
どうしよう。このクエスト。
修学旅行見どころ無くて多分カットするかも。行っただけで終わる。いや、メインはゲームだし……。
ここで終わらせるのもなあ。どうしようかお悩み中……。