修学旅行(北海道) ②
ログインするって言っても、消灯時間まではできない。
夜にだって誰かしら訪ねてくる可能性もあり、迂闊にプレイも出来なくなる。安全にできるのが消灯時間の午後10時。
だが、10時ちょっきりにはできない。点呼があるから。それが終わったらできる。毎年12時くらいまでは起きている人もいるので少し程度なら黙認しているとか。
で、明日のことを考えると12時くらいには寝たい。だから、できるのは2時間近くかなー。
てなわけで、午後10時となりました。明かりを消し、寝ていることを確認させると、私たちは起き上がって電気をつける。
そして、ヘッドギアをかぶった。
「なんかいけないことをしている背徳感があるよね」
「そうだねえ」
「いっちょやるかー!」
「「しーっ」」
見逃してくれているとはいえ大声はダメだよ!
さて、気を取り直して、レッツログイン!
ログインするとゲーム内も暗い。夜の時間帯だった。
私たちは地衣を迎えに行く。地衣はあまりできていなのか初期装備に近い装備だった。というか、もろ初期装備。剣以外は初期装備だ。
「あはは。ミキたちと比べると私装備貧弱だね」
「あまりやれてないなら仕方ないでしょ」
「てか、私も人のこと言えないんだよね」
私も装備が貧弱だという理由でよく舐められるし。ミキっていう名前が独り歩きしてて私の顔は知り渡られてないらしいし。
「チリンはものすごく強そう」
「そう?」
チリンの今の装備はごつい鎧に大剣。大盾。どう考えても重装備だ。
「女の子にそれって似合わない……」
「えっ、傭兵かっこいいだろー!」
「見た目は可愛らしいのに……アイドル顔してるくせになんでこういう装備なのか……」
凛々しくはなく、むしろチリンは守ってあげたくなるような顔立ち。
装備が似合わないのよ……。もう、絶望的に。鎧に着られてる感が半端ない。むしろ魔法使いのほうが似合うんだよね……。
「なんで鎧の色を白にしなかったのか……。なんでグレー選んだし」
「だって鎧の色ってだいたい鉄の色じゃん」
そうだけど……。白騎士って言ったほうがまだ似合うと思うけど。
「とりあえず行こうぜ! 私の装備の話はいいからさあ! 私たちのギルドホームにレッツラゴー!」
ギルドホームにはユキショウグンとサンだけがいた。他はログアウトして寝たらしい。
うぉたぁも寝たか。美鈴は寝るの早いからね……。
「あれ? ミキさんにチリンさん。どうしたんすか? 今日はログインできないとか聞いてましたが」
「ヘッドギアを持ってきたんだよ。さすがに真昼間からログインできないし今の時間帯しかなくてね」
と、その時、もう一人ギルドホームにやってきた。
「おお、先にログインしてたんだね。ミキちゃんたち」
ソゥ様だった。
ソゥ様こんな時間帯に寝なくていいんですか? 明日撮影とかないのかな。あったら支障ないようにさせないといけないんじゃ?
「あれ? そちらの子は誰っすか」
「あ、こっちは友達のチィ」
「よろしくお願いしますね」
地衣は軽く頭を下げた。
「で、今日の結果だけ教えてもらえる?」
「えっと、五位以内には残念ながら。9位という順位で幕を閉じました」
なるほど。まあ、いい順位じゃないかな。
このギルドは王のギルドに囲まれているからものすごく低くなるんじゃないかとは思ったけど9位なら全然高い。
王たちはこのギルドを狙わなかったのだろうか。どういう内容かは知らないけど。
「なかなかいいね。今日はお疲れ」
「はい。俺はもうログアウトして寝るっす。眠……」
と、消えていく。ログアウトしたようだ。
「じゃ、私たちはとりあえず狩りにいきますか。チィのレベル上げも兼ねて」
「「「おーっ!」」」
自分の高校時代の修学旅行の話なんですが、夜ご飯のとき友達がトイレ行っていて戻ってきたらご飯がなかったんです。
理由は旅館の人が「ご飯下げてもよろしいでしょうか?」と聞いて違う友達が「はい」って答えたらしいです。
その友達はメガネ壊されたりトイレの水が流れなかったり不運ばかり続いていましたね。
結局メガネは予備のを、トイレはなんとか流れ、ご飯はコンビニでした。