修学旅行(東京) ②
ここが、A2Oを製作している会社かー!
でっかい! さすが大手企業なだけある! すっげえ! ここで作っているのか!
そして、中に入ると、案内の人なのか、スーツをびしっと決めた男性社員の方が立っていた。
「みなさん! おはようございます! 本日は我が社へようこそいらっしゃいました!」
と、ものすごく胡散臭い笑顔で……。う、胡散臭い……。
いや、笑顔で接客しろとか言われてると思うけどこの笑顔っていかにもマニュアル通りにしてまーすって感じのものだよな……。
一気に信用がた落ちなんだけど?
「……胡散臭い」
「ねー」
「もうちょいマシな笑顔作れねえのかよー!」
言いたい放題だ。
「……俺だって頑張ってるのに……。俺だって笑顔作るの頑張ったのに……」
あ、拗ねた。
「なんで俺だけこんなひどい目に……。この前は俺たちの悪ふざけを取りまくる精霊神のせいで怒られたし……」
……なんか、ごめんなさい。
私のせいか。いや、意図したわけじゃないよ? なんか取れちゃうだけで……。悪気はないし、そもそも悪ふざけする方が悪いと思います!
「こほん。えーでは、社内を案内させていただ……」
目が合った。
「きたいとおもいます……」
すぐに目をそらされ、私たちは会社の中に踏み込んでいった。
会社の中は、ものすごく心地よかった。
「うーわすっげえ。精霊の守護者って精霊神いなくてもつえーな」
どうやら私のギルドは善戦しているらしいです。よかったよかった。
「……なんか誇らしい。私たちも頑張ったからね」
「そうみたいだね。私も頑張ってたけどねっ!」
頑張ってないように思われたくはないからね!
「……それにしても不思議だな。精霊神って毎回イベントには参戦しているはずなんだが今日は体調不良か?」
「部長。学生お連れしました」
「おうごくろうさん」
どうやらモニターでイベントの様子を見ていた。
私たちはそれに釘付けとなる。できないから見るしかない。私も一人の社員の隣に失礼してモニターを覗き込むと……。
「うわっ、精霊神!?」
と、座っていた人に驚かれた。
「な、なんだ。学生さんですか。びっくりしたぁ。あまりにも精霊神と顔が似ているもんだから」
……似ているっていうか、本人です。
「どうした? 精霊神がログインしたか?」
「いえ、ただ、精霊神に似た子が隣に来たんで……」
「なんだ。びっくりさせんな。精霊神の動向だけはチェックしないと怒られるからな……」
えっ。私の動向チェック必要なくらいなにかしてるの?
「……って、隣? 現実にか?」
「はい。この子です」
と、前に出される。
「……失礼ですが、貴方、名前と、もしゲームをプレイしているのなら、ゲームの名前を……」
…………。
「名前は広瀬美咲。プレイヤーネームはミキでプレイしております」
「ミキさん。ミキ……ふぁ!?」
部長が驚いて机にぶつかってこけた。
「似た人っていうか、本人じゃねえか!?」
「あ、あはは……」
その様子に視線が私に集まる。
いや、私自身驚いてるよ。こんなに驚かれるほどかなって。いや、まじで。
「……まじかよ。広瀬さんがミキ……」
「トッププレイヤー……」
周りも驚いてるじゃんか!
「精霊神がついにリアルでも……!」
「ひいいい! 怒られるうううう!」
……そんなに私ひどいことしてるの? 無自覚であなたたち傷つけてるの? だとしたら本当に申し訳ないと思うけど、悪ふざけする貴方方も悪いとは思っております!
なので、そんな怖がらないで……。
「も、申し訳ございません。取り乱しました……。こほん。では、次にゲーム制作の裏話などを講義したいと思いますので別室に……」
というわけで、講義を受けに行きました。
ゲーム制作って、奥が深いと思いました(小並感)
運営驚きすぎ……。たしかに運営からしたら精霊神は存在自体で怒られる対象だけどね? 悪ふざけがつまりすぎて飛び出しちゃった人だから仕方ないけど、露骨……。
ミキは気にしてないようですけどね。