人間の王国とのギルド戦 ①
ギルド戦というものは準備ができ次第、戦うステージに転移させられるとのことだ。戦う場所はランダムで決まる。市街戦もありうるし、平原や森の中。荒野など様々存在する。
そして、ギルドの陣地が決まり、陣地にギルドの核というものが出現する。
勝利方法は二つ。
相手の陣地に攻め入り、ギルドの核を破壊する。
もう一つは、相手方の全滅。この二つどちらかを満たせば勝利となる。
私たちの準備は完了。
「さて、転送されるからね」
そして、目の前の画面が切り替わる。
どうやら、今回の場所は山。私らは山の山頂にいた。ここからどこまでが私らの陣地かはわからないが、とりあえずこのギルドの核というものを保守すればいいわけだ。
「さて、王たちで一斉攻撃する。他のみんなは守っておいて」
《人間の王国が到着いたしました》
《これよりギルド対抗戦が開始されます》
どうやら、決戦の火蓋は切られたらしい。
私らは手筈通りに動く。戦力はこれだけで十分だ。
どうやら山のふもと。そこが人間の王国の陣地。私らはそこまで駆け下りていく。すると、相手が山に登ってくるのだった。
人数が多い。私たちの五倍……。ぐらいはいるか。大手を名乗るだけあって人数は多いのか。
と、どうやら敵の大将がお目見え……。あ、あの人がギルドマスターか? なるほど。リーダーだから快く受け入れたか。
なるほどねえ。
「お前らそんな人数で大丈夫かよ!! 今なら降参をおすすめするぜ?」
「しないよ」
降参なんてするわけがない。
戦力差がありすぎるからね。
「死ぬ覚悟はできてんのか。なら、やっちまえ! 俺たちはトップだ! 弱小ギルドなど相手でもないわ!」
号令が飛ぶ。
「ニル。竜になって」
「わかりました!」
ニルの体がでかくなっていき、鱗が付き始める。どんどん肥大化していくその姿に驚きを隠せていない人間の王国。
このデカい図体は、相手の動揺を誘い込む。
そして、暴れまくって相手のプレイヤーを潰していく!
「マシュマロ。どうする? 核を破壊するか、全滅させるか」
「ねえさん?聞くまででもないっすよ」
「だよね」
もちろん。私たちが選ぶのは、後者。すぐに終わらせるなんて呆気がない。
「怯むな! ドラゴンの足止めに人員を少し割く! 残りは山頂を目指せ!」
「させるかよ」
マシュマロは油をまいた。
機械油。潤滑油とでもいえばいいのか。さすがは機械なだけがある。つるつると滑らせるこの油。どうやら、相手に降りかかったみたいだ。
二人は王らしい活躍を見せている。
ならば、私も。
「精霊魔法、火!」
振りまいた油に火を放つ。油は燃えていった。
「あづづ! しょ、消火しろ! 火傷でじわじわと体力が……!」
「なんだよこいつら! 先へ通ることが出来ねえ!」
「お前らしっかりしやがれ!」
ここは火によって分断された。相手は火傷覚悟で火に飛び込んでくるか、火が消えるのを待つか。
私らはどちらでも構わない。火が消えるにせよ、私たちは戦力的には十分事足りている。自称大手と名乗るギルドに負けることはない。
さて、まだ続けるか。
うわぁ、あっけなっ。ただ闇雲に突撃しちゃ思うつぼだよ。頭使えよ。