狂った精霊討伐とギルド戦に向けて
依頼内容は狂った精霊の討伐……。
今回、相手するのは私じゃなく、チリン。たまには私一人でやりたいとのことで譲った。
「へへっ。戦士の上級職、傭兵に転職したんだぜ」
「上級職?」
あるんだそういうの。私職業についてないからわかんなかった。
「鈍足の代わりに体力と防御と攻撃は増えてるんだぜ。手数よりパワーで押し切る!」
盾を構え、狂った精霊が放つ魔法を受け止める。
耐久値が少し減ったのかな? 私はこっちに攻撃来たら避けるという風にしてるだけで、チリンの戦闘を観戦する余裕もある。
というわけで。実況私、解説私でお送りします。
「”パワースラッシュ”」
パワースラッシュというのは力任せに大剣を振り回す技。隙がある分威力は申し分なくあるようだ。
チリンが使っている武器は大剣。以前は普通の剣だったが変えたようだ。大剣を片手で持てるほど力があるのか?
「くぅ。外れた」
チリンは精霊に向き直り、また、突撃していく。
精霊は魔法を放った。精霊は物理攻撃はしてこない。私と同じで物理は殴る方も受ける方も苦手だからだ。逆に、魔法の耐性はものすごくある。
「”ジゴスパーク”」
ジゴスパークなんてあるんだ。
雷が大剣を覆っていく。そして、チリンは、大きく振りかぶり、精霊に振り下ろした――。精霊は躱そうとする。が、運悪く転んでしまって、技が当たってしまった。
《狂った精霊を討伐いたしました》
よし。難なく依頼完了だ。
報酬は金額100万。ずいぶんと色を付けてくれたから結構嬉しい限りだ。
まあ、浮かれるのはこれくらいにする。ギルド戦をする。その準備があるということだ。ギルド員を招集し、訳を話す。
もちろん、全員をギルド戦につぎこんだりはしない。
最大戦力でぶっ潰す。ただ、それだけ。
「まずは私と、マシュマロ、ニルは決定な」
こっちには王がいるんだ。使わない手はあるまいて。
「エルルゥも、入ってくれる?」
「わかった」
「ルルークとみるきーはお留守番」
「わかった! るるーくおにーちゃんとあそんでる!」
「わかったよ」
あとはっと……。
「おねえちゃん! 私を! ぜひとも私を!」
「……うぉたぁはいいかな」
「えー!?」
「ユキショウグンは一応回復として組み込むとして、ロック、ジャンヌは……。いれるか」
「おう」
「主を最後までお守りいたします」
人選が大変だ。
「あ、あの! ギルド長!」
「ん? あーえっと」
声を上げたのは新しく入った人。そういえば、名前をまだ知らない。
「名前、なんだっけ?」
「ガイです! あの、僕も、僕もギルド戦のメンバーにいれてください! お願いします!」
と、ガイが頼み込んでくる。
そういえば、人間の王国にいじめっ子が入ったって言っていた。もしかして、見返したいのか? いじめっ子を。
うーん。まあ、一人くらいならいっか。
「わかった。じゃ、これで決定ね。
私と、マシュマロ、チリン、エルルゥ、ジャンヌ、ニル、ロック、ユキショウグン、ガイはこっち。
ルルーク、みるきー、サン、うぉたぁ、アガルタ、シャンバラ、ソゥ様が居残りだ」
班分けは完了。
相手はきっと大人数と投入してくることだろう。でも、十分これくらいで勝てるんじゃないだろうか。王三人を攻撃に回し……。いや、ニルは防御か……いや、攻撃か。
火力は私とマシュマロ、そしてニルで足りるんじゃないかな。って思う。どんなギルドかは知らないけど、あの人を鑑定してみるとまだレベル38くらいだったから。
私はもう50間近だというのに。
そして、勝手にギルド戦を申し込んだ。
もしかしたら、あの人は偉い立ち位置にいるかもしれない。
……まあ、ぶっ潰す。それあるのみ、か。
ミキは舐めプをする予定ですねえ。人間の王国相手に全員を投入しないあたり相当なめ腐ってますね。
ミキは「とりあえずぶん殴る」って感じですね。形的には。