絶望と憎悪の精霊王 ②
どうやらあの靄の正体はプレイヤーらしい。
それをキルした……。うーん。ちょっと申し訳ない。けど、諦めてすぐ死んだほうがいいのかも。けどなあ。無抵抗にキルされるっていうのもなにか釈然としない。
……いっそのことボスになる? そういう考えが私の脳内に浮かんだ。
ごめんなさい! ちょっとボスになります……!
た、たまにはこういうのも、いいよ、ね?
※チリン視点
ミキと別れた後、精霊の守護者はとてつもなく成長したと思う。
これならミキ戻ってきても大丈夫だろう。あいつ一人にやらせることもなくなるし……。
すると、ロトさんからフレンドメッセージが入る。
『精霊の守護者全員集合してくれないか?』
とのことだったので精霊の守護者を集め、ロトさんの元に向かう。
そして、驚きの話が上がった。
「み、ミキがモンスターになったぁ!?」
「ああ。それでやられたやつからの報告だ。俺もこっそり確認しに行ったが本当らしい」
「なんでモンスターに……」
「それはわかんねえ。ま、俺らで止めるぞ」
と、王たちがほぼ全員揃っていた。
なるほどね……。ミキの力はすごいから、これだけの人数で押し切ろうという感じか。ただ、みるきーとアガルタたちにはちょっとどころか結構な不安があるけどな……。
「まあ、行きますか」
「世界の半分をお前にやろう!」
……。
「ミキ。悪ふざけしてるでしょ……」
「うん。まあ、たまにはボスになってみるのもいいかなー……なんて。だからボスになります……」
自分の意志でボスになるのか……。
まあ、死なないとこの状況は治らないってことだしどっちにしろやると思うけども。こうのノリノリか。ま、私もノリノリで。
「勇者ロトがお前を倒す! ロト! やってしまいなさい!」
「え、ええ?」
「勇者が神に逆らうか! ならば、目に物をみせてやるわ!」
ノリノリだなあ。
「……ミキってこういう性格か?」
「そうですよ? 面白そうなことには結構のっかります」
「なるほどなあ」
トロフィさんが納得したようにうなずいていた。
「お願いロトさん……! お姉ちゃんを、助けてあげてください……!」
うぉたぁものっかってきたぁ……!
「世界を救えるのはロト。君だけだ」
「世界の命運はロトさんに託されたんだ。だから、お願い」
まさかのエルルゥとルルークまでもがのっかってくる。なんだこの劇団は!
「……なあ、俺も劇にのっかったほうがいいのか?」
「楽しければはい」
「わかったよ……」
トロフィさんにそう尋ねられたので答えると、トロフィさんはちょっと恥ずかしそうに。
「勇者ロトよ。神すらも倒せないで魔王が倒せるとでも思ったか?」
おお、ラスボスっぽい。
神より強い魔王っているよね。
「お願いです! 精霊神様を元に戻してぇ!」
「がははは! ロトよ、力を貸すぜ!」
「くっくっくっ……不死の力は偉大なり……。私の試作品がこうなるとは……」
「……これお前のせい?」
「違うわ。演技よ」
一瞬本気かと思ったじゃないかよぅ!
というかみんな思ったよりノリよすぎるだろう! なんだよこれ! まあ、私ものっかってるけどさ! ほんと意味わかんないよ! この大勢の集団がここに固まっていることが不思議なのか野次馬もたくさんいるし!
「あれはあたしの師匠……! ロト! 一思いにやれ!」
「俺勇者ってことですげえ頼まれすぎてる!」
「勇者ロト。お前の力、その身で示せ!」
▷狂った精霊神があらわれた!
もうこれ名前ドラ〇エ12~精霊の導き手~って名前でもいいんじゃねーかな。