専属の生産ギルド
さてさて。久しぶりにカティの工房を訪れました。
理由は、納得いく武器ができたとのことだった。今まで連絡もなかったから出来てないのかなーなんて思ってたけどやっとこさできたらしい。
「ものすごく時間がかかったわ! ずっと試作を繰り返しては売りに出したりとかして気づいたら生産レベルが最高レベルになってたわ!」
「まじですか!?」
「結構費やしたわよ。けどまあ、有意義だったわ」
清々しい顔でそう言ってくれてちょっとうれしかった。
「はい。これ約束の品ね」
と、譲渡されたのは
『精霊王の日記』という杖というかは本。というか、本だ。これが武器らしい。
「ワンドが本になったわ。これは第四層で手に入った精霊樹の大枝や葉っぱが必要だった……。トッププレイヤーにとってきてもらったわ」
「まさしく私向けの装備ですね」
「ええ。MP+100。魔力+50。かしこさもあがったりといろいろと破格の武器よ」
さ、さらに上がるのか……。
「それに追加効果で精霊の癒しというものがあって1秒に5MPが回復する優れものよ!」
「すっごいですねこれ!?」
いろいろとやばい武器やん!
さすが精霊王と名のつく武器なのだろうか。
「これもどうやら上位種があるみたいだけど素材がわかんないのよねえ」
「はあ。でもこれだけでもものすごく強いですよ? それでこそ耐久すればMPがほぼ無尽蔵みたいなものですからこれ」
「そうね。まあ、なにかこれ素材になりそうってものがあったらもってきなさい。強化できるかもしれないからね」
「はい! ……で、お代は……」
「言ったでしょう? タダでいいって。私のところ利用してくれればいいって」
「あ、ありがとうございます」
なんだか申し訳ない。
私ってもらってばかりな気がする。
「あと、どうしても代金を払いたいなら専属にしてくれないかしら」
「専属ですか?」
「あなたっていろいろと面白いし発見もあるから魅力的なのよね。私たちは木工といえど一部は鍛冶もかじったやついるし専属にはぴったしよ! どう? 魅力的じゃない?」
「魅力的ですね。じゃあ、チリンに聞いてみますね」
チリンにコールをかけて聞いてみる。
いいって答えがきた。
「いいそうです。なら、よろしくお願いいたしますね」
「ええ。私が率いる生産ギルド”カティの森林工房”はギルド”精霊の守護者”と同盟を結ぶわ。お互い持ちつ持たれつで行きましょう? 専属になるからにはあなたたちに素材をとってきてもらうこともあるわ。だけれど、私たちは武器を下ろすのは精霊の守護者のみ。もし他の人に下ろすとしたら精霊の守護者を通してもらうわ。これでいいわよね?」
「はい。大丈夫です」
《カティの森林工房と精霊の守護者の同盟が成立いたしました》
「契約成立ね。それじゃ、今後ともよろしく頼むわ。あと、ローイだったかしら? 貴方たち贔屓にしてるのよね? 専属にならないか打診してみたらどうかしら。意外と便利よ。専属って」
「わかりました。打診してみますね」
むろん専属というのはプレイヤー同士で決めたものです。
もちろんギルドというものはありますが専属というのは作っておりません。プレイヤー同士の合意で成り立つものです。
次回はローイ工房に行きます。