初心者に教えよう
ローズマリーとキュータは幼馴染という関係らしい。
キュータは引きこもりで学校にも行っていなくて自分が一番だという考えしかもっていないというクズということを言っていた。
まあ、上昇志向があるのはいいことだよね。
「それにしてもよく君は私たちのこと知ってたね?」
「公式サイトでよく掲載されてますよ? 目立つプレイヤーは紹介とかされますし」
「そうなの?」
それ初耳なんだけど。
「あの、そんな精霊神さんにお願いがあるんですが、キュータのことは許さないでくださいね。許しちゃうとつけあがるんで。もう、ぼこぼこにしてもいいです」
「うん。わかったよ。じゃ、私はいくね」
その時だった。
《九つの王すべてが誕生いたしました》
というアナウンスが聞こえる。
九つ? 一気に二つも増えたのか?
あの広場にまだいる!
私はその広場にかけていく。
結構な人数がいる。この中にいるのか……? うわあ、初期装備は誰も同じだからわかんねえ。一人ひとり聞いていくしかないのかね。
「やったー! 王ひいたー!」
その声が聞こえて、一気にそっちに視線が行った。他の人もらしい。
「ふぁ!? お兄ちゃんマジで!?」
「やるな」
と、女性二人に囲まれる男の子一人。
兄妹かな? まあ、仲いいことはいいことだね。
「というか、それいってよかったのかな。ほら、なんか視線集まってるよ?」
「うへぇ!?」
あ、ごめんなさいね。不躾な視線向けて。
でもなんの王か気になるな。
「あのーすいません」
「んあ? なんですか?」
「王ひいたっていっていましたけどどういう王ですか?」
「え、えっと、その…竜王って……」
まるで将棋だな……。じゃなくてね?
「そうなんですか……。竜王か……。じゃあ、あと一つの王は誰だ?」
「あ、あの! 僕はニルヴァーナっていいます……。まことに恥ずかしながら歌手の名前からとりまして……。そのっ! よければ僕にいろいろと指南をしていただけませんでしょうかっ!」
「えっ、あー。うん。いいよ。暇してるしね」
「やった! 妹と姉も一緒でも……」
「うん。いいよ」
そんな可愛らしい顔で言われたら断れないでしょ。それにしてもキュータとは違って消極的というか。相反するね。
「改めましてニルの姉のアガルタと申します」
「私はシャンバラでっす」
堅そうな姉さんとちゃらそうな妹さんだ。私の妹とは大違いだ。美鈴はねえ。そりゃもうめっちゃくちゃ真面目だけどシスコンなのよねえ。
「えっと、じゃあ、まずレベリングしようか。第二層以外はボス倒さなくちゃならないからそのつもりでね。ボスはなるべく手出ししないからさ、勝てるように頑張ろう」
「はいっ!」
ニルヴァーナは元気な返事をするなあ。
「でも、ニルくんはステータス見せてくれる?」
「わかりました」
と、ステータスを見せてくる。
うん。まあ、ステータスは初心者そのもの。なにか秀でているわけでもないけどスキルに特徴があった。
スキルには”竜化”という文字があり、それを使用し戦うスタイルなのかもしれない。
多分竜化するとステータスが上がるんだろうな。
「ちょっと竜になってみてくれるかな?」
「はい! ”竜化”」
と、目の前にどでかいドラゴンが現れた!
うわあ、これかよ。でかいなあ。
「ステータス見せてくれる?」
『はいっ!』
と、見せてくれる。
HP:1700/1700
マジか。体力バカ高いぞ。
他はちょっと強化された程度。いや、攻撃も高いか。体力があって攻撃も高い。なるほど。メインアタッカーになりうるな。
「体力多いね。あと、攻撃もいいから前衛かな」
『わかりました!』
「それで二人はまず何になるか決めたの?」
「私は魔法使いでお姉ちゃんが戦士でーす」
ふむ。バランスがいいのかな。
「うーん。じゃあ、戦士のアガルタは私が剣を振るからそれを盾で防いでみてくれるかな」
「わかった」
そして、私は初心者講習を始めたのだった。