闇に思うは妄執の罪 ③
ネクロキングはもう瀕死である。
そして、その時は訪れる……はずだった。
「お前ら許さないんだな……! 我が美をわからぬものは、この身を賭してでも、わからせてやる!」
どんどん肥大化していくネクロキング。
もしかしてだけどさ。身を賭してってことは自分の身を犠牲にするってこと。肥大化してくのってももしかして……。
「自爆だ! まずい!」
自爆以外には考えられない!
今すぐ逃げる……!
「逃げても無駄! くらうがいい――!」
と、盛大に自爆した。
のだった。
気が付くと、ギルドホームにいた。
リスポーン…したとは考えられない。だって、普通なら精霊樹のほうにいくはずだから。それなのに、どうしてこういう風になったのだろう。
「ミキ! 勝ったんだね!」
勝った? 自爆に巻き込まれてHPがすべて削られたはず。
誰か残っていない限り無理だと思うけど……。
すると、他のみんなも到着したのだったが、一人足りていない。
「ジャンヌは?」
「ああ、ジャンヌさんは見なかったっす。リスポーンしてすぐどっか行ったのかと思ったけどリスポーンしてなさそうなんですよねえ」
「リスポーンしていない? まさか……!」
自爆で一人耐えた……のか?
とりあえずフレンドメッセージを送ってみると返信が返ってくる。
『騎士のスキル:不屈の防御で運よく1耐えました! 幽霊看守長を倒した扱いになりました!』
マジかよ。運がいいなおい!
ということは、ボス倒したってことなんだけど、ちょっと腑に落ちないこともある。
「ねえ、なんで」
《ミキ、ルルーク、ユキショウグン、サン、ジャンヌ、ソゥの手により第三層エリアボスである幽霊看守長が討伐されました》
《Another Arcadia Onlineのアップデートを始めます――》
私の疑問はアナウンスによりかき消されてしまった。
私が疑問に思ったことはただひとつ。
チリン達が倒したやつでなぜアナウンスが流れなかったのか。
チリンに聞いてみた。
「チリン。あのボスに向かうときどこから入った?」
「え? 教えられた1の牢屋に向かうとなんか地下につながる通路があったからそこから入って……」
「なるほど。引き出しから入ってない?」
「うん? 引き出し?」
なるほど。わかった。
多分、チリン達が相手していたのはまったくの偽物。本物の看守長とは戦っていない。だからアナウンスが流れなかったんだ。
「なるほど。だからアナウンスが流れなかったんだ」
「何一人で納得してるんだよー」
「ん? 知りたい? ちょっとチリンには辛いかもしれないけど」
「うん? まあ」
「チリンさ、不思議に思わなかった? チリンが倒した時、アナウンスが流れなかったこと」
「……あ、言われてみれば」
「このことから導き出されるのは、チリン。無駄な努力だったね」
その意味が分かったのか、めっちゃくちゃ落ち込んでいた。
こういうときもあるって。どんまい!
ネクロキングの倒し方!
覚醒させます。追い込みます。自爆させます。
どうやって自爆を耐えるのでしょう!答えは簡単です!
HPが瀕死ってことはもうすこしで倒れます! なので自爆させる前に倒せばいいのです!
ね? 簡単でしょ?
自爆するとなると焦るよねえ。運営さんはその心理に付け込んできたか。
実際だますために剣をつかうとがきぃんと音なります。固くなってる証拠ですがダメージは通ります。運営性格悪っ!
あとお知らせというか、私の不甲斐なさというかなんですが。
29日以降投稿ができなくなるかもしれません。
BAN食らったとかそういうわけではなく、感想をもらい、あやふやな点がたくさんあるために大規模な改変をします。現時点で28日分までは書いているのですがそれも直しを入れるかもしれないのでしばらくは停滞するやもしれません。早めに終わらせるよう努力はいたします!
あと、懲りずに新連載やっちまいました。