イベント最終日 ②
最終日は守備が固くなる。
いや、攻撃の頻度が高くなるということだ。
あるふぁ、キュイ、私は上級種族に転生したためにキルするともらえるキルポイントが多くなったのが原因ともいえる。
王を倒しても同様だ。
ふむ、保身のためにもう隠れるっていうのが一番なんだけど、今どれくらいキルしたかわかんないんだよな。たくさんキルしたとは思う。
数値がわかんないっていうのが辛いな……。なるべく一位を狙いたいけど。
「これで恐ろしいのがキルされたら八人分減るってことなんだよな。説明はされてないけど隠しとしてそういうこともありそうで怖い。キルされないようにね」
「ああ、情報を一部隠すっていうのも運営好きそうだね」
ともかく性格悪いと思う運営だからね。
「抜かりなく最終日やっていこうか」
「おっけい」
そして、森の中に駆け出していった。
森の中は随分と閑散としているものだ。
プレイヤーがどこかに息をひそめているのかもしれない。警戒を怠ることは死を意味する。なにかスパイ映画みたいな感じだ。いや、コロシアイ?
無人島に閉じ込められた私たち。外に出るにはみんな殺して生き延びるゲーム……!
いや、それも怖いな。
かといってこのA2Oでいきなりログアウト不可能になりましたってのも困りそうだけどね。
一度も死ぬことは許されないってがね。
そう考えていると。
「ミキ! 危ない!」
と、押し出される。そして、聞こえてきたアナウンス。
《チリンがキルされました》
えっ。
嘘、でしょ?
よくみると剣を構えた人と、魔法使いの人がいる。
……私の、せい、だよね。
「あと精霊王一人だ!」
……ごめん。油断してた。まだイベントの最中だっていうのにさ。なにやってんだろ。私。
せめて、私は生き残るよ。ごめんね。
《アガサ、ミッキーをキルしました》
私は今までで一番イラついている。
油断していて、チリンがやられた。私のせいだ。ものすごく、機嫌が悪い。
《ほねっと、うらんすをキルしました》
《ナナ、ハチをキルしました》
無我夢中で倒しまくる。
自分のふがいなさが憎い。もう、なんであのときいらないことを考えて……! 周りが敵だらけってことをすっかり忘れていて……!
「ふふーんと……」
「ナパーム!」
「うおっ!?」
「ちっ……! ダークホール!」
「ぐぁっ……! 精霊王!? なにしやがる!?」
聞こえない。
「ありゃ獣になってる……?」
「……やるしかないんじゃないか」
「だよなぁ。勝てっかなあ……」
三人。
チリンのためにも生き延びる!! チリンのために死ねえええええ!
そして、私はぶん殴られて目を覚ました。
うげ、瀕死……。
「……何があったんだ?」
「いや、チリンがキルされて、それで無我夢中になってたら我を失ってたっていうか」
「おいおい……。チリンを失っただけで狂人化になるのかよ……」
「面目ないです。油断してたらやられちゃって。チリンは庇ってくれる形でキルされたんで……」
「……まあ、落ち度はあっただろうがそれでも暴走するなよ」
「はい、すいません……」
こうして、私たちの武闘会イベントは終わった。
次で終わるかなあ……。