迷走するジャンクフード ②
この二人を問い詰めるべく追いかけてきたのが仇となった……。
チリンを置いてけぼりにしてしまった罪悪感と、この二人に対する申し訳なさがある。だって私のことそんなに恐れてるとか思わないじゃん?
「それで迷いの森から脱出する方法は?」
「えーと、迷路を進め……だそうですよ」
迷路か……。
多分、一筋縄ではいかないんだろうなあ。
「……戦闘もありうる、か」
一応覚悟は決めておいた方がいいのかもしれないな。
「……あのー、モンスター出るんですかね? 迷路に……」
「運営のことだから出すんじゃないのかな」
「そ、そうですか。それならまずモンスターでた場合の対処について話しましょうか」
対処?
「いらないくない? 倒せばいいんじゃないかな」
「いや、殺傷行為が禁止されている今モンスターすら倒せないのでは……」
……あっ。そうだよなあ。
殺すのはダメということはモンスターを殺してはいけないということなのか! まじかよ! じゃあ、モンスターを極力躱しつつ進めということか!
というか、戦っちゃダメってことだろうな……。戦って傷すらもつけるなということだ。
逃げるしかダメなのかよう。
「……とりあえず隠れながら迷路を進もうか」
案の定迷いの森には魔物が闊歩していた。
茂みに隠れつつ魔物をやり過ごす。これが数時間続いている。チリンからフレンドメッセージが届きまくるしあとで説明をしなくてはな……。
「進むよ」
茂みから出て先に進む。
二つに分かれていた。そのうち片方からは唸り声が聞こえてくる。絶対モンスターがいるだろうな……。そこに行けるわけがないけど……。
「君たちに任せるよ。えっと、キュイにあるふぁだったっけ? どっち行く?」
私の予想だと左。モンスターの声が聞こえるから。
「左はモンスター居るでしょうし安全な右を探索してからでも遅くないのでは?」
「引き返せばいいしね」
「いや、引き返せなかったらどうする? ここは迷いの森だよ」
永遠にループし続けることもあるかもしれない。
というか、最初の位置に戻されることだってあるはずなのだ。
だから慎重に行く必要がある。
「……運が悪かったら最初のところに戻されるよ」
ここまでは一本道だった。
道中にモンスターがいることを除けば通りやすい道。
「うっ。またモンスターだらけの道を行きたくない……」
「慎重にしよう……。うーん。なにかヒントとかないのかな」
……ヒント?
こう、運任せということはしてほしくない、ならヒントあるのかな?
ちょっと考えてみよう。
迷いの森。
先ほど出てきたモンスターはライオンに似た魔物、小象みたいな魔物、キツネの魔物、虎の魔物だよな?
ああ、これらがもしかしてヒントだったりするのかもしれない。
これは英語にするだけかな?
「左だね。左に行こう」
「えっ、わかるんですか?」
「うん。さっきここに来るときに通った魔物を覚えてる?順番に言ってみて?」
「えっと、最初がライオンで、次が小さい象。キツネに虎? 何もヒントは」
「それが答えだよ。英語にするとどうなるかな?」
「ライオンはライオンでしょ? 象はエレファント。キツネはフォックスで虎はタイガー」
「ああ、そういうこと。頭文字」
そう。頭文字を取ったらLEFTとなる。
つまり左ということだ。ここはちょっと簡単だった。
「次も同じ形式かな? いくよ」
左に行く。
まず最初のモンスターは大型のハチ。
ハチ?
ま、まあいいでしょう。
次。
また象。
象?
次は馬。
馬?
次はイグアナ。
イグアナ?
次はモグラ。
モグラ?
次は蜥蜴……?
ふむ。
これもやってみるとしよう。
「b」「e」「h」「i」「m」「l」
これ並べ替えるとかそういうことじゃない、よね? どう考えても一つの単語にはならない。
「……詰んだ?」
かもしれない。
朗報です朗報です!
直りました!!