迷走するジャンクフード ①
イベントの悪魔と呼ばれるやつがいる。
そう、精霊王だ。
『ヒヒヒヒ』
と僕たちを笑うような悪魔であり、見つかったら最後、世界の果てまで追いかけてきて殺しにかかるキラーマシン。
未だにあの悪魔から逃れた人はいないという……。
「気を付けろ。そこらへんに精霊王がいるかもしれない」
噂によると一人で二人の王を倒したっていう話もある。
あくまで噂だ…と思っていたかった。けど、無駄に信憑性がある。精霊王はプレイヤースキルがとてつもなく高いって聞いた。体力や防御が弱いっていう欠点も自らのPSで補っているようで欠点がないように見える。
な、なるべく会わないようにしよう。そのままプレイヤーを狩り続ければいい。
たしか精霊王さんは白いワンピースみたいな恰好をしているとか……。
この森の中で白のワンピースとか怖い。絶対幽霊だよ。
「悪魔が潜む森……しっ」
幼馴染であるキュイと一緒に息を殺しながら前に進む。
後ろや真横の警戒も怠らずに。
ゆーっくりと……。
「ん? 君たち何してるの?」
「ひいやあああ!?」
突然背後から声をかけられた。
振り向くと、真っ白のワンピースを着た可愛らしい少女がこっちを向いて優しく微笑んでいた。麦わら帽子があったら最高なんだよな。
そうじゃなくて!
「精霊王だあああああ!?」
「ちょ!? それは聞き捨てならないよ!? なに悪魔って!?」
逃げる!
キュイを背負い、全速力で森を駆け抜ける。神速スキルを使用し、キュイに素早さのバフをかけてもらって無我夢中に走り回る。
無理無理! 命何個あってもあの人に勝てないって!
「狙撃!」
狙撃でキュイが潜んでいるプレイヤーをキルしていた。
俺が逃げるのに合わせて倒すとかこいつもコイツでやばいんだけど、今はそんな場合じゃない!
「こ、ここまでくればだいじょーぶ……。追ってはいない。撒いたか」
「悪魔って言った理由聞かせてもらえる?」
と、後ろで声が聞こえた。
恐る恐る振り返る。笑顔の精霊王がにっこりと笑っていた。それはホラーであり、夏だというのにものすごく寒くなったのだった……。
ど、どうしよう。どう説明したらいいんだろう!?
「そ、その、あ、貴方さまは、ですね。そ、その、プレイヤーたちを蹂躙していく様を見た人があ、悪魔と名付けたみたいで、それが広まって……」
「そう。ありがとう。じゃ、ばいばい」
バイバイって……。
「俺の命バイバイってことですか!?そうですよね!? ああ、煮るなり焼くなり隙にすればいいさ! キュイは逃げてくれ!」
俺はあきらめて地面に寝転んだ。
「それなんだけどさ」
「う、うん?」
キュイの反応がちょっとおかしい。
「予めポイントで取っておいた地図化っていうスキルを使ってここを調べてみたんだけどさ」
「うん?」
「ん?」
「ここ、迷いの森らしくて、逃げられない、らしいんだ」
……えっ。
そ、それってさ。イベントであるの? ま、迷いの森の場所があったの?
「挑戦条件も書いてあって、三人以上のプレイヤーが同時に入った場合作動、迷いの森では殺傷行為は認められておらず行為を行った場合森の裁きが下る、って」
「ひえっ!?」
と、ということはさ……。
「チリン置いてきぼりにしちゃったあああああ!」
「こ、この人と一緒かよおおおおおお!」
はっきり言おう。めちゃくちゃ緊張する。
サブタイトルは適当ですので気にしないで結構ですよ!
というか、第三層という章が今のところ一番話数多いくね?
そろそろ第四層の構想も練らないと。第三層が監獄でしょう? なら四層どうすっかなあ。
PS.活動報告にミキのステータスを書いてみました。ステータスが極端すぎると思います。まる。