ロトの勇者
四月一日ということで二話こうしーん。
新生活応援フェアです(適当)
クエストボスを倒した。
汚濁竜はチリとなって消え、落ちていたゴミも消えていく。水も汚かったのに今では綺麗で澄み渡っている。こんなに綺麗だったのか、と見間違うほどに。
「ど、毒が……」
汚濁竜が残したもの。それは毒。
毒ってどうやって回復するんだろう……。解毒魔法とか状態異常回復魔法とかそんな便利な魔法があればいいんだけどね。でもシステムで毒がある以上、解毒草とかはあると思うんだよね。
と、とりあえず出ようか。私とルルークは体力満タンだけどエルルゥがやばいしね。
・ ・ ・ ・ ・
道具屋という店にきている。
ポーションとかたくさん売ってあった。
普通のポーションが一個百五十円、MPポーションが二百円、解毒ポーション等状態異常回復ポーションも二百円。うん、これくらいが相場なんだろうな。
解毒ポーションを一つと、MPポーションをありったけ買って解毒ポーションを一つエルルゥに渡す。倒せたのは引き寄せてくれたエルルゥのおかげでもあるし、今回のMVPはエルルゥだね。
はぁ。疲れた。
カモシカくらいしか狩ってないから戦闘の大変さが身に染みたよ……。やっぱカモシカだけじゃダメなんだねって。
「毒治ったああああ!!」
解毒ポーションを飲んで全回復したエルルゥは街中で叫んだ。
たしかに毒対策してなかったから毒で死にかけた……っていうのはよくある話だからね。私も小さいころ毒を付与してくる敵に遭遇して解毒薬とか何もなくて毒で死にかけたっていう思い出がある。あの時は絶望しかけたよ……。
でもまあ、無事倒せたんだし水道も綺麗になったから精霊樹も元の元気な状態になるだろう。
「あのー、すいませーん」
「はい? なんですか?」
「ここらへんで限定種族の方はみませんでしたか?」
「限定種族? なんですかそれ」
男の人が訪ねてくる。
限定種族ってなんだ。
「あ、掲示板でチート種族のことを限定種族って呼ぶことにしてるんです。それで俺は勇者を引いたんですが、その限定クエストで限定種族三人に出会えっていうお題でして。だーれも見つかってないんですよ」
あ、プギーもなにか大変なことになってるらしかったし限定クエストだったのか。
で、目の前の勇者さんもクエストの途中と。なるほどなるほど。
「私精霊王ですよ。勇者さん」
「えっ、マジですか!? 本当ですか! リアルガチでですか!?」
勇者は私の肩を掴み揺さぶる。
脳が揺れることはないけど感覚が気持ち悪いいいいいい! 揺さぶられるのは嫌いなんだよねえええ!
「やっと一人見つけたぁ……! ありがとうございますう! ここにサイン書いてもらえませんかね!」
「あ、いいですよ。私のプレイヤーネームですか?」
「はい!」
「わかりました。――ミキっと。はい、どうぞ」
「ありがとうございます! 助かります!」
「いえいえ。大丈夫ですよ」
困ってるようだったし助けてあげないとね。
偽善者ぶるわけじゃないけど困ってる人は見過ごせないタイプなんだよね。自分でいうのもなんだけど私って結構世話焼きタイプなんだよね。だからこそチリンともうまくいってるようなものだけど。
……って、チリンを忘れてた! 待ち合わせに随分遅れた! こりゃむくれてるなあ……。でも、この場合私は悪くないよね? く、クエストだったんだから仕方ないよね。
「あ、あの、お、おこがましい願いなんですが」
「はい」
「お、おお、俺と付き合ってくれませんか!」
「……はい?」
付き合う? もしかしてゲームに付き合ってくれということかな。
つまりはフレンドになってくれませんかということか。フレンドなら大丈夫かな。フレンド多いほうが嬉しいし楽しくなると思うしね。
限定種族のフレンドがこれで2人になるぞー!
《ロトさんにフレンド申請を送りました》
「こ、これって……!」
「はい。よろしくお願いしますね」
「……やったあああああ!」
《フレンド申請が承認されました》
《ロトさんとフレンドになりました》
(好きなので)付き合ってくれませんか!
(フレンドとして)付き合ってくれませんか!
この誤解がわかったときのロトの絶望みたいね。
そしてミスをした作者の絶望感ね。
これソシャゲだったらお詫びガチャだよ。いや、なろうで出来ないけど…,
本当に、申し訳ございませんでした
ごめんなサイコロステーキm(>__<)m