目が覚めたら七時間後でした
目が覚めた。
目覚めて時間を確認……。く、九時ですか!?
「おはよう」
「おはようチリン……って、チリンなんで起こさなかったのさ! もう九時だよ!? 三時間もオーバーしてるし」
「寝顔可愛くて起こすの気が引けたんだよね」
そういって笑う。
嘘だね。きっと寝かせてくれたんだろう。別に半分でも王にさえ会わなければどうにでもなったし。
「でも大変じゃなかった? 一人で……」
「一人じゃないよ。六時になったらガガトツさんが来てくれたよ」
「おう。目が覚めたか」
ガガトツさんがあぐらをかいて座っていた。
「さて、と。私も寝ていい? さすがにMPがね」
そういえば死んだら体力は半分回復するけどMPはしないんだっけ。
七時間も守ってくれたことだしこんどは私が護ってあげる番かな。七時間に四時間……半日くらい動けないけど仕方ない。昨日は魔王と勇者と戦ったんだ。消耗が激しかったし無理しすぎたからね。その報いかな。ゆっくりしてろってことか。
「チリン守るのはお前さん一人で大丈夫だろう。俺は行くぜ」
「はい。ありがとうございました」
「ああ。まあ、守ってやった分ちょっとは俺が稼がせてもらうぜ。お前さん方動けないから狩れないだろうしその分俺が結構稼いできてやる。一位は俺がとるからな!」
と、ガガトツさんとケイさんはそのまま去っていった。
私はチリンの寝顔を見る。
ゲームだから傷は見えない。けど、死に顔のような眠り顔だなあ。
「……さて、じゃあ、まず防御壁だけでも作っておきますか」
まず土魔法でドームを作る。
そして、落とし穴を周辺に設置して完成。即席防空壕!
外の様子は小さい小窓で見える。
落とし穴で近づく敵には容赦なく。また光魔法でコーティングさせてもらったし魔法攻撃にも少しは耐えるはず。
ふっふっふっ。
動けない……ことはない。
これでチリンを守っていれば少しは安全だろう。突破する人がいないように気を付けて。
まあ、周辺の警備だけはしておこうかな。
この防空壕はあくまで急ピッチで作り上げたし落とし穴もただ単に落ちるだけだし這い上がってこられたら終わる。
うーん。これは試行錯誤かな。
罠ハウスつくらないとね。
周辺を歩いて、出くわしたプレイヤーを倒し地道に稼ぎつつたまに即席防空壕を眺める。どうやらまだプレイヤーは近づいていないらしい。
あの防空壕にも攻撃機能を付けられればいいんだけどカウンターで発動する魔法とかできるのかな? 魔法陣とかあったらできそうだけどな。
落とし穴の下に仕掛けておいて嵌ったら発動しダメージを与えてくれるとか……。
……?
あっ。
そうだそうだ。いいこと思いついたー。
この周りにある葉っぱをたくさん拾って……落とし穴の中に落とす。
そして、火をつける!
燃え尽きそうになったらまた補充して火を止めない。火が出ている間は大丈夫だろう。落とし穴に落ちたら火が待っている。
ダメージは受けるだろう。
風魔法で火力をアップさせて私は再び周辺の警備に出かけた。
「あのドームなんだ? 誰かいるのか?」
「しめしめ。プレイヤーが中にいる。落とし穴が周りにあるから気を付けろよ」
「いいよ。落ちてもどうせダメージは少しだろ? それくらい大丈夫だって」
と、強引に突破する音が聞こえた。そして……
「あっちいいいいいいい!!」」
「は、ハッカー!?」
「なんだこの落とし穴!? 火が、火がある! 落ちたら終わりだしあのドームに遠距離攻撃で壊してあてるしかねえ!」
「そうだな! 俺が魔法で……”岩つぶて”……壊れないだと!?」
「もっと打て!」
「お、おう!」
え、それ以上打つの? 持つかな……。
「ダメだ、壊れねえ……!」
「もっと打てよ!」
「無理だ。温存することを考えてもこれ以上打つのは得策じゃない。それに、このサーバーには運の悪いことに四つの王がいるんだ。そいつらとでくわしたときMPがないと困る」
「そ、そうだな。じゃあ、諦めて違うターゲット探すか……」
そのプレイヤーたちは諦めたのかこっちに向かってくるではないか。
そして、私と目が合う。
「……ごきげんよう」
「……”岩つぶて”!」
「”一閃切り”!」
彼等は運が悪いね。
精霊王である私が近くにいたし、あれ、大体私の連れだしね。
「私と出会った運命を恨んでね」
「くうう……」
「言った傍から精霊王と出会うのかよ……ちくしょう」
《ハッカー、クラッカーをキルしました》
目が覚めたら~の汎用性凄いですよね。
小説のタイトルでもできそうですよ。
「目が覚めたら異世界にいた」とか「目が覚めたら百年後の未来だった」とか。タイムトラベルや異世界転移のタイトルに仕えそうですね。
なんか最近異世界物を読んでいるので自分も異世界物を書いてみたい……。チートで俺Tueee!は自分好んで読まないんです。どちらかというと悪役令嬢ものが好みです。
本当に異世界物書こうかな……。