精霊王サバイバー ⑥
私が放った魔法はクリーンヒットした。
「やっぱ魔法の威力やっばいな……! 三分の一くらいは削れたんじゃねえか……! それなりに魔法防御はあるんだが……!」
魔法特化をなめるな。
「こっちからも一発……!」
”一閃切り”という言葉を聞き、私は身を引いた。
すると目の前には勇者の姿があり、剣を横なぎにしようと構えていて……。私はかがんで躱した。危ない。攻撃一度受けたら私は死ぬ……!
「はあ!? 今の見て避けるってありなのかよ!?」
「ありなんだよ! 落とし穴!」
勇者の下に落とし穴を作る。
勇者は落ちていった。このまま死んでくれると嬉しいんだけどそうは問屋が卸さないよなあ。
「スキル”神速”」
勇者のスピードがあがった。
くっそう! 目で追うのも困難になるぞ……! ちょこまかと小賢しいなあ!
どこから攻撃が来る……? 後ろ……。いや、前だ!
私は横に飛ぶ瞬間、横に勇者があらわれた。読み通りだ!
「は? か、かわされた……?」
「風の刃!」
精霊王の特権は自分で魔法を作れるということ。
ようするに決まった魔法の型はないということだ。A2Oって無駄に技術力がすごい。いや、むしろこういう風なのは作れますよとか決まってるんだろう。多分。
「ぐぅ!」
「さすがに威力は低いか」
あまり体力は削れてなさそうだ。
「……なあ。降参って、あり?」
「そっちから喧嘩吹っ掛けてきておいてそれはなしでしょ」
「だよねえ! 俺勝てる気しないんだけど」
「なら諦めて」
「くそ、こうなったら両手使えなくしてやるさ! ”拘束”」
私の手に鎖がまかれた。
「本来はダメージもあるんだが魔法防御が高いからうけないだろう。ただ、魔法を使えなくなったな!」
そう。両手を拘束されたら魔法が使えない。
精霊魔法の使い方は片手を突き出してやらなければならない。片手を突き出し魔法を放つ仕組み。杖もないからこういうことになる。
うむ、困った。
……ことはない。
こういうときのために、ちゃんと奥の手は用意してあるからね。
「しょうがない。奥の手出すか……」
「そ、その状態で奥の手出せるのか……?」
「だせるさ。見てて」
全属性を一気に放出!
火、水、風、土、光、闇。全魔法を統一し、イメージを整える。
実験してやったらできたスキル。その名前は……。
「お、お、おい……! お、おま、お前! 腕六本は反則だろう……!」
スキル名:阿修羅
腕を魔法で増やし、魔法を放てる数を多くするものだ……! 手数稼ぎになると取っておいたけど出しておく。
もちろん私の魔力半分を捧げることになるけどね。
「六本のうち二本は拘束されてるけどね」
さあ、決着をつけようか……!
ミキは一度やると没頭してしまうタイプです。なので研究も続けてました。
阿修羅ができたきっかけは単なる偶然ですね。
チリン「そういや一気に全属性放つこと出来ないの?」
ミキ「わかんない。やってみる」
力を込めてみた
ミキ「なにもならないよ。だけどMP凄いなくなってる」
チリン「いや、あるよ!? 腕増えてる!」
って感じで好奇心的なもので生まれました。
ちなみに全部の魔法扱えるようになったらできます。レベル一でも可能ですね。