精霊王サバイバー ②
前半は違うプレイヤー視点です。
俺たちは森の中をさ迷っていた。
第三回イベントのサバイバル武闘会というもののせいで。一週間この森で暮らし、プレイヤーを狩っていけという運営の指示。
「つれえなあ……」
サーバーも分けられているので同じギルドのやつがあまりいない。なので二人一組で参加し、尚且つ同じギルドのやつと合流してそのままプレイヤーを探しに出かけた。
同じギルドの奴殺したら禍根が残るからな。やらないでおく。
「ギル、そっちに誰かいたか?」
「ああ、いたぜ。女性二人だ」
女性二人か。
こっち四人であっちが二人。余裕で勝てるだろう。
「なにしてる? 隙見て襲うぞ」
「今二人で飯食べてる。今がチャンスだ」
ギルの指示のもと、俺らはその二人に近づいた。
一人は火でウサギ肉を焼いて食べている。一人は嫌々ながらもちまちまとウサギ肉を齧っている。油断しているらしく俺たちの存在には気づいていない。
よし、まずは……。
「あの肉を焼いているほうを狙え。サンダー」
「了解」
サンダーは弓を引き絞る。
これで一人を不意打ちで潰しその後あの女性を四人でフルボッコ。可哀想だと思うがこれはイベントだ。仕方がないこと。
俺らに狙われたお前の運命を恨むんだな……。
「よし、いまだ!」
と、指示を出すも返事はない。
あれ? と思いつつサンダーがいるところを見ると誰もいなかった。
《サンダーがキルされました》
キルされた、だと?
「お前ら裏切りやがったのか!?」
後ろの二人に怒号を飛ばす。
「いや、俺何もしてないけど……」
「私も……」
「ならサンダーはなんでキルされているんだよ!」
こいつらがやったとしか考えられねえ!
だってここら周辺には俺らとあの女性たちしかいないはずだ! それ以外にプレイヤーはいない! なら、こいつらだろう!
「っておい、ユッケ。後ろ!」
「あん? そんなのに惑わされるかよ! お前ら後ろ向いた瞬間に俺の事キルするつもりだろうが! お前らの魂胆は見え見えで……」
そして、俺は意識を失った。
※ミキ視点
肉にも飽きてきた今、なにやら気配を感じる。
プレイヤーかな? おおよそ私たちを油断させて狙おうという魂胆だろうけど。
「チリン。チリンの背後にプレイヤーいる」
「おっけ。どうする?」
「そのまま狙わせておこう」
うっすらとだけど弓を構えている人が見える。
背中を見せているチリンを狙うだろうから、まずは私が魔法でそいつを倒してと。闇魔法ダークホールで大丈夫だろうな。
闇魔法をばれないようこっそりと放つ。
《サンダーをキルしました》
なるほど。サンダーというのか。
「まず一人キルした。たぶん仲間もいるから隙を見て私たちの姿を見せようか」
「了解」
こそこそと敵が忍んでいる草むらに近寄って状況を見てみる。なにやら言いがかりをつけているみたいだ。私がやったんだけどね。
さて、後ろを向いた今がチャンスだろう。目の前の男を倒してっと。
「っておい、ユッケ。後ろ!」
「あん? そんなのに惑わされるかよ! お前ら後ろ向いた瞬間に俺の事キルするつもりだろうが! お前らの魂胆は見え見えで……」
バカだなあ。仲間を疑いすぎだって。
まだ仲間がいたってことに驚きだけどチャンスだ。一気に四人キルできるということだから。
まず一人。
《ユッケをキルしました》
「チリンはでっかい男のほうね! 私は女の人やるから!」
すぐに目の前の二人は臨戦態勢を整えているが無駄。
こっちはすでに戦闘モードに入っている。準備する暇があるならもうすでに……。
「お前はもう、死んでいる……ってか?」
チリンにセリフとられた!!!
餌がやってきたってことですね。
ミキ達は堅実にやってくのか…。しゃあない、奇抜に走らせるか(暴走)