精霊王サバイバー ①
そして、一週間後を迎えた――
私たちは大自然の中にいた。
二人一組だが、なぜここにいるんだろうか……。
見渡してみると木、木、木。
森の中……だということはわかるが武闘会……という感じではない。こう、四角い武闘会場みたいなのがあってやらされるかと……。俗にいう天下一武道会みたいな。
『目が覚めたかな諸君!』
アナウンスが聞こえる。運営からのようだ。
『君たちは周りの光景に驚いたことだろう?』
めっちゃ驚いたよ。目が覚めると大自然なんだもの。
『それもそうだ。今回は、サバイバル武闘会を行うことにした!』
サバイバルぅ?
あれか。要するに住むところとか食べ物は自分で取れということか!
『ルールは簡単だ。そのフィールド内にはたくさんのプレイヤーがいる。プレイヤーと出会って戦え。結果はキルしたのが多い順になる。二人一組で参加している人たちはどちらも倒れて一人と換算する。なお、解体用ナイフを支給した。解体はできるが攻撃はできない代物となっておるのでそれで倒そうとしても無理だと思ってもらえればいい。ちなみにデスペナはなし、復活できるのは翌日の6時を過ぎてからになる。いいな?』
なるほど。
一週間サバイバルしつつ戦えということだな。満腹度もあるから腹の減り具合もみつつ食料を狩り、食べて人を狩る。
チリンと一緒にこれを乗り切るということか。
「ふぅん。ま、ぼちぼちやろうか。美咲」
「おっけー。珠洲」
猶予があった一週間。特訓してきたし、従来の付き合いでお互いの性格も熟知している。コンビネーションは良好といえるだろう。
チリンの場合はどうやって動くかを予想して先回りしていったほうがいい。ちょっと難しいけどチリンのことはわかってる。
まあ、仮にも精霊王だし、頑張ろう。
私たちが倒した人数は六人となった。
結構な遭遇率で一時間で六人という大きな戦績を残す。
「あ、やば、満腹度が……。ウサギでも狩るか」
そう。問題は食料だ。
食料は支給されないために自然にあるものを食べるしかない。料理スキルがあればいいのだが私たちはシンプルに焼く以外の調理の手法がない。
いや、焼いた肉も美味いんだけどさ。
「こう肉ばかりだと飽きてきそうだなあ」
ウサギやカモシカの肉。
美味しいけど脂もあってちょっとくどい。野菜食べたい。というか柑橘系がほしいな。こってりとした胃の中をね……。
ゲームだから現実では胃もたれなどしてないだろうけど気分的に飽きてくる。この味もねえ……。
そこらへんのキノコでも焼いて食べるかな……。
「まあいいじゃんいいじゃん! 川発見したら釣りして魚釣ればいいし! 森の中はウサギ肉で我慢しようぜー」
「そうだね。……でも木の実とかでも食べようよ」
木の実という選択肢もあるのになぜに肉……。
「木の実なんか腹の足しにならないだろー!」
そうだけど気分的にね?
ラズベリーとか美味しいだろうし食べたいぞ……。
「この腹ごしらえしたらまたプレイヤー探しに行こうぜー」
「わかった」
ウサギ肉を齧りながらそう返事した。
本当は第三回イベントってやろうとしたんです。
ですがなぜか頭の中でバカサバイバーの曲が流れてしまってこうつけました。悔いはない。