第1話「あばよ、ダチ公」
エルフとか寿命が長い種族になって、数十年単位で眠っていたい
晴れ渡る空、小鳥は囀り、花は咲いて
こんないい日には親友と遊びに行く予定だって入れるさ、
そんな素晴らしい日に俺は死ぬなんて、思ってもいなかった。
まさかと思うだろ?散々あり得ないと笑ってたトラックに轢かれるんだ。珍しい雲に浮かれてる場合じゃなかった...
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ‼︎‼︎‼︎」
ああ、親友が何か言ってる。そんなに泣くなよ。
これじゃ、死ぬみたいだろ?
そうたいした傷じゃないはずだ。痛くないしな
「ガハッ....ゴポォッ...」
そう言ったつもりが、言葉ではなく出て行ったのは赤い液体。
それが自分の血液だと気付いたのは、少し時間がかかった。
こぼれ出る自分の血を見てこれは、なんの作り物だろうなんて、呑気なことを考えていた。
「〜〜〜〜〜〜!!」
「ー〜〜〜〜〜〜〜!?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
多くの人だかりができて、何かを喋っている、とても慌てた感じだ。
そうか、聴覚がなくなっているんだなぁ、と
気づいた頃には視界もだいぶボヤけてた。
薄れゆく意識の中で、俺は親友に言っておかなきゃいけない事を思い出した。
もしかしたら、死ぬのかも知れない俺には、
最後の言葉になるのかも知れない。
「ガポッ...なぁ...親友...?いるだろ...?」
「----------!!」
目の前に暗い影がいる。きっと親友だ...。
「俺さ...もし死んだら...」
「ちょっと異世界行ってくるわ...」
オタクだった俺には十分すぎる。そして馬鹿すぎる
遺言であっただろう。
あっ...PCのデータ処理しといてって言い忘れた...
待って、タンm...
そう思ったのを最後に、俺はこの世界から去った。