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僕の物語  作者: 逃げ水
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第1話 守護の儀

森に囲まれた小さな村。その広場では一人の少女を中心に輪が出来ていた。


「神子様、おはようございます。」


「神子様、今日は守護の儀の日ですね。」


「神子様、今回の旅頑張って下さい。」


老若男女誰もが神子と呼ばれる少女、アリス・ハービィングに声をかけていた。


「は、はい。皆さんの期待に応えられるように頑張ります。」


アリスは、腰まである長い金髪を揺らしながら村人一人一人にきちんと返事をかいしていた。

そうしているうちにふと思い出した。


「皆さんすみません、もうすぐ儀式の時間なので。」


「そうですか。もうそんな時間でしたか。」


村の長老のお婆さんがアリスの前に一歩近寄った。


「今回の守護者はきっと素晴らしい守護者でしょう。そして必ずや神子様をお守りするでしょう。神子様に女神エステルの加護がありますよう。」


長老が手を組み祈ると、村人達も一斉に祈りだした。


「さぁ神子様、早く教会の方に。私達も後から参ります。」


「はい。」


返事を返したアリスは教会までの道を歩き出した。












教会までは木々に囲まれた一本道。

葉は風に揺られ優しい歌を奏で、木漏れ日が眩しく光り、その光りはアリスの金髪をより一段と輝かせていた。


「ガサ!」


そんな時、茂みから怪しい音がした。しかし、アリアはその音を怪しむわけでもなく不思議がるわけでもなく。ただ苦笑いをしながら振り向いた。


「そこで何してるの?レイス。」


「何って、ドジな幼なじみがドジをしないか見守っているんだ。」


そうして茂みから現れたのは、茶色の髪をした少年。レイス・ギルバーシュだった。


「私、ドジじゃないよ。」


アリスは、レイスのドジ発言を否定した。


「ほう。ドジじゃないと。」

レイスは、嘘つけという顔をしてアリスを見る。


「この前の掃除の時、両足をバケツに突っ込みそのまま転び、壁に頭から突っ込んで。これがドジじゃないと!そもそもどうすれば、一つのバケツに両足がはまるんだ!」

アリスは、必死に言い訳を考えながら言葉を紡いだ。


「えっと・・・それ・・は・・・・」


そして、閃いたと言わんばかりの顔をしてこう言った。


「そう!バケツが入ってくれって・・・イタ!。」全てを言い切る前にレイスのげんこつがアリスの頭に落ちた。


「嘘つくな!ったく、これが神子だってんだから驚きだ。」


「イタタタ。何も殴らなくてもいいでしょ。」


「お前が嘘つくからだ。それより、今日守護の儀なんだろ?どんな守護者がでるんだろうな。」


目をキラキラさせるレイス。


「さぁ?それは解らないよ。」


「ほら、この前の人のは凄かったよな。あのでかいトカゲみたいな奴。」

「ドラゴンだよ。」


やや呆れ顔になるアリス。


「なあ、俺も一緒に居ていいか。」


「!!駄目だよ!守護の儀は神子一人でやらなくちゃいけないんだから。この前学校で習った・・・・・レイス、学校は?」


「サボった。」


さもあたりまえのようにレイスは言った。

そんなレイスは何故か変な自信に満ち溢れていた。


「はぁ、またシェラ先生に怒られるよ。」


アリスは先日に起きた出来事を思い出した。

いつもは温厚なシェラ先生が、六日連続で宿題を忘れてたレイスについにキレた。

顔は般若のようになり、罵倒レベルの説教が1時間も続いた。

クラスの皆は恐れ上がり、怒られているレイスは席を立たされながら寝ていた。


「大丈夫だ、きっと。」

二人がしばらく歩いていると、教会がみえてきた。

「なぁ、俺もさ。その旅についていってもいいか?」


「ふぇ?」


いきなりの質問に戸惑うアリス。


「でも、凄く危ない。死んじゃうかもしれないんだよ。」


「大丈夫だって。毎日、剣の修行してるから。」

自分の腕を叩いてレイスは笑う。


「・・・・考えておくね。」


そうこうしているうちに、二人は教会に着いた。

「お待ちしておりました、神子様。」


教会の入口で教団の人が二人を出迎えた。


「それでは神子様、守護の儀を始めますので奥の祭壇まで来て下さい。」

「はい。それじゃ行ってくるね。」


アリスはそう言って、教会へと入って行って。




教会の雰囲気は何時もと違い。二人の足音だけが不気味に響く。

守護の儀の祭壇は民間人が入れる神殿のさらに奥にある。

神殿の奥、女神エステルをかたどった像の前に来ると教団員の人は祈りを捧げた。


「我らが偉大なる女神エステル様よ、今その道を開け祭壇への道を示したまえ。」


言い終わると、何か動く音と共に像が動いてさらに奥に行く為の道が現れた。


「わ〜、すご〜い。」


アリスはその光景に驚かされた。


「えぇ、神子様でも神殿の儀と試練の儀以外はお見せ出来ないので。」


そして二人は祭壇の間に着いた。


「それでは神子様。その魔法陣の前に。」


アリスが一歩足を踏み出す。


「今から神子様には、その魔法陣に向かい召喚の呪文を詠唱してもらいます。その後、守護者にたいし説得、または戦闘によって契約をしてもらいます。」


アリスの顔が引き締まり、緊張感が漂う。

一つ大きな深呼吸して。

「神子、アリス・ハービィング。今より守護の儀を始めます。」


集中し魔力をたかめる。

「我は神子アリス・ハービィング。我、女神エステルを呼び起こすものなり。我命じる、我を護り共に女神エステルを起こす守護者よ、今我の前に姿を現し汝の力を示したまえ。」


呪文を詠唱し終わると、魔法陣の中のルーンがよりいっそう濃くなる。


「神子様、お下がりください。間もない守護者が現れます!」


教団員が叫ぶ。しかし、アリスはその光景を前に一歩も動くことが出来ない。


「神子様!!早くお下がりください!そこは危険です。」


一歩も動かないアリスに不安を感じた教団員は、とっさにアリス服を掴み引っ張ろうとした瞬間、魔法陣が光りその光にアリスは飲み込まれた。

しかし、その光はすぐに収まった。


「み、神子様!ご無事ですか!」

教団員は必死にアリスを捜す。

アリスはすぐに見付かった。

先程と同じ位置に腰を抜かして座り込んでいた。

「神子様!・・ご無事でなによりです。」


心底安心した顔で教団員がアリスに近寄り、手を貸して立たせた。


「守護の儀は成功です。さて、今回の守護者は?」


「あ、あそこです。」


アリスが指差した方は、煙りで見え難いが確かに守護者の影がそこにあった。

執筆中、大変な事に気が付きました。第1話が始まったのにヒロインしか出ていないんでず。

残念な事にレイスは主人公ではありません。

えっ、最後のオチで解っていた。

という訳で次話から主人公が登場いたします。

後、感想・アドバイスがあったらどんどん下さい。それが作者の励みであり、この作品がより良くなる素です。

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