第3話
朝の薄暗かった森が太陽に照らされ、腹か減り始めた。目の前を歩く狼は依然として止まらない。
「・・・腹減ったなぁ」
狼は俺の見える位置でゆっくりと歩いている。俺は真上まで上がってきた太陽に手をかざしながら自分のいる場所が岩場に近いことに気が付いた。
「岩場に戻って来たのかぁ・・・俺の苦労はいったい?」
岩場をすいすいと狼は登っていき俺がいた岩場から少し離れた横穴に入っていった。
俺はえっちらおっちら岩を登って、横穴に近づいて行った。すると近づくごとに白骨が転がっている。すると狼が横穴からこっちを見てまた中に入っていった。
「なんだってんだよ・・・」
かなり体力を使ったのでバテ気味。横穴に入るとちょうどいいひんやりとした日影が待っていた。
俺は横穴に入って横になった。
「あぁ~、疲れたぜ」
しばらく背中に当たる冷たい岩の感触に癒されていると、またもや下腹部に重さを感じる。俺が瞼を開けると・・・
「・・・足を載せないでもらえますかね?」
狼が俺を足蹴にしていた。仕方がないので起き上がると手元にふさふさ感がある。ふと見てみると子狼らしき毛玉が体を擦り付けていた。
・・・もふもふであった。
子狼を片手で撫でながら狼の巣穴を見渡すと、ある程度の広さがあることが分かった。奥には何かおいてあるよう!。せっかくなので俺はいそいそと奥に進んでいく。すると西洋風のまさにサーベルの形をしている剣や、防具。さらには日本人の俺には馴染みの深い日本刀の様なものも落ちていた。
「湧き水もあるのか」
近くの壁からは湧き水が流れ出ていて、チロチロと静かに音を立てていた。俺は湧き水を手にくみ、2日間飲まず食わずの胃に湧き水を流し込んだ。
一息ついてからじゃれてくる子狼を抱き上げて元の世界では持てないような凶器を物色していく。
「これは、フランベ・・・なんだっけな?」
ゲームではお世話になった波打ったかのような剣を見つけたが名前が思い出せない。しかも鞘がなかったので放置。
「んー、これはロングランスかな?こんな重たいのよく振り回せるな」
両手でかなりの重さがあるランスを退ける。すると布に巻かれた一組の手甲を見つけた。しかも仕込み手甲のようで強く握ると手の甲の辺りから厚めだが鋭い刃が出てきた。
「おお、仕込み武器か!これは使えそうだな」
俺は手甲をわかりやすい場所に置いておいた。まだまだ武器や防具などがあるので物色していると横穴自体が暗くなって来たので適当なところに寝そべって、その夜を過ごすことにした。