プロローグ
いきなりだが自分語りをしたいと思う。
俺は平成xx年に一般的な家庭に生まれた。父は郵便局員、母は役所勤めで兄弟は3人。それも全員男。
俺はそんな家庭の四男として生まれた。
それからは特に言う必要はないのだが言いたいから言っておく。小学生の頃はガキらしく怪我病気をして気になる女の子にちょっかいを出してみたり。ゲームで知った段ボールを被るなどして少年時代を謳歌した。
それから時は過ぎて中学生。自分がずれていることに気が付き、普通を目指すが残念ながら普通になれない。しかも小学校時代の基礎ができていないため中学3年まで悪戦苦闘しながら学ぶことを理解した。
さらに時が過ぎて高校生。もうこの時には女性に好意を持つことを封じていた。いや、もっと昔から根底にある恐怖心で固く封じ込め、表に出さないようにしていた。友好関係は浅く広く持っており、親友と呼べる人物などいなかった。卒業後は専門学校に進学する予定だった・・・
少し前、俺は六畳半のグレーを基調とした部屋にいた。俺は一人用のソファーに座っていて対面側に三人用のおおきめのソファーが同じように置いてあった。
「ようこそパーリンルーム(別れの部屋)へ」
後ろから声が聞こえたので振り返ると背が高く物腰の柔らかい男性とモデルや映画でしか見たことのない白いドレスで所々に黒い刺繍がされている服を着た女性がいた。
「早く進めなさい。私は聞いといてあげるわ」
「わかったよタルタロス。君は彼の言葉に嘘偽りがあれば連れていけばいい」
「早くしなさい。私は暇ではないのよオグマ、ケルト神のあなたでも私の力の例外ではないわ」
「わかりましたよ、まったくタルタロスは怖いね」
『あの!』
俺は意を決して発言した。すると男性のオグマ?はこちらを見たがタルタロスはまるで気づいていないかのように部屋のソファーに座った。
「でオグマ、彼はもういるの?」
「ああ、いるよ。だから少し話をさせてくれ」
「わかったわ、手短にね」
「じゃあ、話そうか」
オグマは俺の向かい側に座って話しかけてきた。
「先に君の現在置かれている話をしよう。落ち着いて聞いてくれ。君はいつもどおり学校に自転車で向かっているところで水道管の破裂に巻き込まれて死んでしまった。」
『!?』
俺は思わず立ち上がってしまった。水道管の破裂?俺が死んでる?悪い冗談だ。
「残念ながら冗談じゃないんだ。実際に君は死んでこの霊界に来てしまっているんだ。現に君は霊体だから彼女に声が聞こえない。君は死んでしまったんだ。」
俺はその言葉を聞いてドサリとソファーに座り込んだ。
「落ち着いて。そうだ、自己紹介がまだだったね。私の名前はオグマ、ギリシャ神の一柱で戦い・言語・霊感の神を司っているんだ。君は私の名前は知らないかな?」
『(コクリ)』
「そうか・・・まあ重要な話じゃないからいいんだけどね。で隣にいるのはタルタロス。君たちで言う地獄とかに近いかな?」
は?意味が分からない。神とか地獄とかはまだわかるけどあの女性が地獄とか意味不明だ
「ちなみに私には君の発する言葉や思考は全部わかるからね」
恐ろしいな。あっこれも聞こえちゃうのか
「まあね、これでも神様だから。それじゃあ本題に入ろうか」
『本題?』
「そう本題。君が死んだ理由の水道管の破裂ね、実はテーテュースっていう女神のくしゃみで起きた事故なんだ。彼女は『ブェキシ!あっやっちゃった‼でも被害者はいなさ・・・どうしよう・・・助けて!オグマ!』って茶会で僕に頼んで来たんだけどね。僕も君のことがかわいそうになったから頼みを受けたんだけどその時にタルタロスが君を掴んでいたんだよ」
『ちなみに彼女どうやってつかんでいたんですか?』
「勘で捕まえただってさ!すごいよね!」
「それに私の波長に似ていたから今でも姿だけは少し見えているわよ」
「そうなのかい?タルタロス」
「ええ」
「そういえば、彼には罪は少なそうだがなぜ捕まえたんだい?」
「・・・私好みの波長だからよ」
「・・・」
『・・・』
「ということらしいけど君には今二つの道を出せるんだけどどうするかな?」
『二つ?』
「そう二つ、一つはタルタロスに娶られること」
「オグマ、入れられたいの?」
「君は嫌なのかい?」
「・・・別にそうはいっていない」
俺は困惑している。正直に言うと前世では女性に好意など向けられたこともないし、しかもタルタロスは地獄というには可憐で清楚なイメージだ。娶られるなら良いのだろうか?娶られる?意味が違うような気がしてきたな。
「もう一つの選択肢を言うよ。君の人生を奪ってしまったテーテュースが君を自分の管理している世界にそのままの体で転生させてあげてもいいと言っている。どうする?」
転生か、生前といったほうがいいか。友人が読ませてくれたライトノベルにも転生物があったけど俺はどうしようかな。まだやりたいことも多かったけどやり直せるならやってみるのも面白そうだ。
『転生でお願いします。オグマさん』
「ハハハ!私をさん付けで呼んだのは君が初めてだ。いいよ転生だね。タルタロスもそれでいい?」
「・・・死んだら来てほしいとだけ言ってくれ」
「だってさ!」
『忘れてなければ来ます』
「忘れなかったら来るって!よかったねタルタロス」
「・・・絶対だからな」
「そうだ!君の名前を教えてくれよ」
『島川 修』(シマカワ シュウ)
「シュウか、いい名前だ。今度来たときは還る前に土産話でもしてくれ」
『なるべく遅く来ますよ』
「そのほうが話す内容が多くなって楽しそうだ!」
「私のところでも教えてね」
「じゃあ、行ってらっしゃいでいいのかな?また会おう!」
「行ってらっしゃい」
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