第八話 ある美人委員長のファーストキス
モコネコは、ウミウシの罠を解決するために、近くの小学校を調査することにした。
すると、小学校の女の子が異変を感じていた。
そう、かつてモコネコが猫だった時に助けた少女である。
今では、クラス一番の美少女になっていた。
「ああ! クラスでも、真面目で人気者の委員長が倒れている!
いつもは他人を助けて優しい彼女だけど、いざ彼女の番になったら、誰も助けてくれない。クラスの奴らは、助けないんじゃなくて、知識がなくて助けられないんだ。
唯一知識のある女性の先生は、彼女の美貌と人気に嫉妬しているから、気が付かないふりをしているぞ。
このままじゃ、彼女の命が危ない!」
モコネコは小学校の窓ガラスを突き破り、委員長に人工呼吸(羊猫だけど)をする。
「モー、ちょっと! 彼女の呼吸と意識はあるわよ。
彼女が可愛いからって、あからさまな誤診しないでよ!」
「いやー、人気者の彼女とキスするには、彼女の笛を舐めるか、人工呼吸するしかないから、つい……。でも、おかげで彼女が倒れた原因が分かったぜ!
どうやら、胃腸薬と牛乳を一緒に飲んでしまったのが原因らしい。
胃腸薬に含まれる水酸化アルミニウムゲルは、牛乳と一緒に飲むと、食欲不振、吐き気、嘔吐や意識障害を起こすことがある。
その症状をミルクアルカリ症候群といい、胃腸炎や風邪のように思われる症状になるのだ。
その場合は、医療機関へ行き、血液検査をする必要があるぞ!
牛乳と薬は、二時間ほどの間隔を空けて飲もうぜ!」
モコネコは委員長を保健室に運び、適切な処置をした。
委員長は、モコネコに感謝の言葉を述べる。
「ん? 猫さんが、私を助けてくれたの?
あ・り・が・と・う……」
そう言って、委員長は力尽き眠ってしまった。
「ふー、これで一安心だ。委員長は金はないけど、将来は有望だからな。
メアリー牧場で世話してもらうために恩を売っておくぜ!
そして、無能な小学校を訴えて、金をせしめるんだ!」
「モー、美人で有能な委員長と金の二つをせしめるなんて、す・て・き!
とりあえず、委員長を救ったのは、メアリー牧場のモコネコってことを、委員長の両親に教えておかないとね!」
「ゴロニャーン。じゃあ、委員長と一緒に添い寝するニャン。ムニャムニャ……」
モコネコは眠り、起きた時には夕方になっていた。
「モー、もう夕方だよ! 早く最後の事件を解決しなさい。委員長ももう帰ったよ!」
「はっ、委員長との添い寝が、あまりにも気持ち良くって、つい……」
モコネコは、最後の事件を解決するために、飛び立っていった。