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資料館にて

翌日の放課後、私は学園の資料館で様々な資料を漁っていた。


セルバさんのおかげでとにかく体調が良くて、昨夜はシャーリーにお小言を言われてしまうくらい、護身術の練習に打ち込んでしまった。邸に戻ってしまえばついついダンスとか体を動かすものに取り組んでしまいそうで、自重しているのだ。資料室に籠っていれば体力を使いすぎる事だけはない筈だから。


知識が足りない事が気になっていたから、ちょうどいい。


この前珍しい食材の話をした時に、ルーフェスはすぐにガレーウ原産だと断言したわ。それに、辺境の町が直面している問題や商業にも詳しかった。


お父様の補佐をしているから当然なんだとルーフェスは事も無げに言うけれど、弟との知識の差をまざまざと見せつけられた私にしてみれば心中穏やかじゃない。


もう一つ、気になって調べていたのは国政の概要と市井官についてだった。邸の書庫で調べた内容は概念だけであまり仕事の内容や民との関わり方には触れられていなかった。


女将さん達のキョトンとした様子を見るに一般に知られている職務でもないように思えるから、学園の書庫であればもっと詳細な記述が見つけられるのではないかと、私は期待していた。


記述がありそうな本を片っ端から積み上げて、必要な情報があるかないかをざっと目を通す。じっくり読むのは後でいい。とりあえず今日は仕分け作業に専念だわ!



どれくらい時間がたったのだろう。


右に積んだ本たちを仕分けして二つの山にしながら左に置いていたのだけれど、その本の山も相当高くなった頃だった。



「あれ? もしかして」



頭上から、聞きなれた声が降ってくる。明るい、こちらが元気になるようなこの声は。



「やっぱり。どうしたんだい? そんなに資料を積み上げて」



振り返ると腕に多くの本を抱えたレオさんがこちらを見下ろして笑っていた。





「へえ、じゃあそれで調べ物を?」



『不要』に振り分けた本を一緒に片付けてくれながら、レオさんが私の悩みをにこにこと聞いてくれる。


話を聞いて貰えるだけでなんだか心が軽くなったみたい。


そういえばレオさんは、こんな風に男女も身分もあまり関係なくとても朗らかに話を聞いてくださるので、とても人気が高いのですって。エマさんが噂なのよ、とすごく楽しそうに話してくださった事を思い出す。


それも納得だわ。


しっかりと目を見て話を聞いてくださるし、いちいち頷いて、時折質問を挟みつつアドバイスもくださる。テールズで話していた頃は調子のいい方だと思っていたけれど、今思えばふさぎがちで人との関わりを極力避けていた私に、無理にでも人との関わりをもたせようとしてくれていたのかも知れない。



「? どうかした?」


「えっ?」


「いや、なんかそんな見つめられると恥ずかしいんだけど」



考え事をしていたせいで、ついレオさんの顔をまじまじと見つめてしまったらしい。確かにレオさんの頬はちょっとだけ赤みを増していて、なんだか申し訳ない事をしてしまった。



「ごめんなさい、考え事をしていたから、つい」


「考え事、か。また無理をしてるんじゃないのか? 体を壊すような無理だけはやめてくれよ」


「そこは大丈夫です。私今、踊りだせそうなくらい体調万全なんですわ」



言い切った私を見て、レオさんは「確かに」と頷いた。



「なんだろう、なんか漲るパワーを感じるね。目が生き生きしてる」

ここからは5日に1話更新になります。

これからもよろしくお願いします!

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