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魔法とは

「別にややこしくはないさ。僕が研究しているのは、一般に普及させる前の魔術式を組み立てるものでね」


「充分にややこしいぞ」


「そうかな。えーと、例えばエクスプロージョンって爆発系の魔法、あるだろう?」


「あるな、あの派手なやつか」


「そうそう。あれは焔系の魔法と風系の魔法を組み合わせたものだ。それぞれの術式を組み合わせて、新しい魔法を生み出してる」



セルバさんの説明に、マークさんが瞠目した。私だって驚いている。今まで魔法は既に決まった手順と決まった呪文……セルバさんがいうところの術式? で発動させる、という認識だった。


セルバさんは、新しい魔法を生み出すのがお仕事だと、そう言っているのよ……ね?



「お前実は結構すごいやつだったんだな」



は、と笑ってマークさんは手近な椅子に腰かけた。腰を据えて聞こうという気持ちの表れなんだろうか。セルバさんは照れくさそうに笑って、今回の経緯を話してくれた。



「今回もともとクリスちゃんに施していたのは、魔力貸与の術式だった。まだ一般には流通していないけれど検証も済んでいる安全な術式だ。他者に魔力を与えられるようになると色々便利だからね」


「それは、理解できる」



しぶしぶ、といった様子でルーフェスが頷いた。ルーフェスは剣技が得意ではあるけれど、魔法にも素養がある魔法剣士だから、魔法についての興味や理解は深い。



「ただ、クリスちゃんの場合は魔力が少ないから、前回はその発展形として、送った魔力が継続的に体内に循環するように組み替えてみたんだ。うまくいけば、魔力が循環することを体が覚えて、触発されて魔力が底上げできるんじゃないかと仮定した」


「それは……もしそうなったらどえらい発見なんじゃないのか。魔力の開発なんざ冒険者仲間からも聞いたことがねえぞ」


「夢の発見だよ! クリスちゃんから相談受けて、なんとかできないか考えてて、閃いた時にはさすがの僕も心が躍ったからね」



マークさんの言葉に、セルバさんは小さく拳を握った。そんなに重大な実験の一端を担っていたなんて予想もしていなかった。ただ、ルーフェスは興奮したような、でも憤っているような、とっても複雑な表情。



「すごいよ、すごいけど。僕の姉さんで実験するなよ。言っとくけど、公爵令嬢なんだからな!」



どうやら、私を心配してくれていたらしい。



「いや、流し込む魔力は微量だったし、もともとの魔術も安全性は保障されてたからね。大丈夫かと思って」


「あんたみたいなバケモノ級の魔力の人が微量って言って流し込む魔力は信用ならない。現に姉さんは倒れたじゃないか」



セルバさんに文句を言いつつ、話が長くなると思ったのかさりげなく椅子を用意して私を座らせてくれるあたり、ルーフェスは密かに紳士だ。



「それなんだけどね、前回は特に問題がなかったんだ。むしろ反応がなさ過ぎてびっくりしたくらい」


「そう……でしたね」



そう、セルバさんに言われるまで、魔力を送ってくださった事すら気が付かなかった。

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