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気になる新メニュー

「クリス! バーグ酒三杯、カナフェのドカ盛り、メメ魚の刺身、ニール貝の酒蒸し、上がったよ!」


「はーい!」


「クリスちゃん、こっちも注文頼む!」



来るわ来るわ、お客様が波のように押し寄せる。むくつけきオジサマ達が相席で目一杯席についているからか、熱気むんむん、テールズはもう戦場のような有様だ。


私もさっきから休みなくクルクルと動いているけれど、全然おいつかない。厨房はもっと凄まじい状況なんじゃないかしら。



「カナフェの肉巻き、二皿追加!」


「ついでにルパナの串焼き三皿も頼む」


「はーい!」



なんか今日、カナフェとルパナって単語をよく聞くなあ。でも、定番のメニューにはなかった筈だけど。もしやメニュー開発とかに取り組んでいたりするのだろうか。


ふと疑問に思ったその時、女将さんが勢いよく厨房から飛び出してきた。



「あんた達、いったい何皿めだい!?」



女将さんの剣幕に、注文してくれた冒険者さん達は揃って苦笑い。壮年の熟練パーティーらしいこのお三方は、いつも仕事上がりに来てくれる常連さんだ。



「心配しなくてもちゃんと金は払うって」


「そうそう、今日は実入りが良かったからな」



二人がご機嫌でそう返すのを無言で聞きながら、残る一人、お髭のオジサマは強いお酒をグイグイ呷っている。この人がこれだけグイグイいくんだから、きっと今日は随分と稼げたんだろう。冒険者は割と飲みっぷりで稼ぎ具合が分かる人達が多いのだ。


ふふ、昔っから変わらない。私がいなかった期間なんか存在しないみたいに昔どおりのこのパーティーを見ると、なぜか安心する。



「別に支払いなんか心配しちゃいないよ。カナフェもルパナも滅多に手に入らないんだから、色んな人に味わって貰いたいんだよ」


「あー、そっか」


「まあ、そうだなあ」



二人が同意を示すところを見るに、そのカナフェだとかルパナだとかは割と希少な食材なのだろう。お髭のオジサマだけは相変わらず「俺ぁ酒さえ呑めりゃ何でもいい」と、興味無さそうだけれども。



「でもよぉ、こんな高けえのそんなに出るか?」


「そうそう、鮮度が落ちる前に俺達が美味しくいただいて……」



二人が言うと、あちらこちらから「バカにすんなー!」「それぐらいの甲斐性はあらあな」「女将!こっちにもカナフェのドカ盛り!」「肉巻きも頼む!」「ルパナのおろしは出来るか?」と盛んに声が上がる。


「おっ、ルパナが入ってるのか、珍しいな」なんて、今気付いたらしいお客様までいて、店は一層喧騒に包まれた。



「うわ、薮蛇だ」


「競争率が一気に上がった」



冒険者のお二人は、苦笑いで首を竦める。



「アッハッハ、ありがとよ! あんた達のおかげで一気に注文が入った」



機嫌良く笑って、女将さんは厨房に急ぐ。一気に入った注文を、これから厨房でさばいていくのだろう。

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