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セルバさんは意外な人

セルバさんも私をまじまじと見つめてくるものだから、しばし見つめ合う結果になってしまって内心焦る。


凄く焦る。


このままでは、赤くなってしまうかも……と少し身を引こうとしたら、逆に手を握る力がグッと増してしまった。


これはマズイ、と困り顔をセルバさんを見れば、セルバさんはとても真剣な表情で私にこう問いかけた。



「どう?」


「な、なにがでしょう」


「あれ? 分からないかな……結構大量に魔力を送ってるんだけど」



ええっ!? なんですって!?


それならそうと言って欲しい。一人でドギマギしてしまった……ああもう、恥ずかしい!


違う意味で赤面しつつ、魔力を感じとろうと集中すれば、確かに手からは仄かに暖かい何かが流れ込んできていた。



「手が温かく感じます」


「それだけ? 体の中を巡ってる感じはしない?」



問われて一生懸命に魔力を追ってみたけれど、やっぱり体を巡るなんて、そんな感覚は微塵も感じられない。


申し訳なくてションボリと首を横に振れば、セルバさんは「ううん、手強いね」と苦笑した。



「クリスちゃんには感じとれなくても、魔力はちゃんと巡ってる。暫くはこうやって魔力が体の中を循環する事に体が慣れていくようにしよう」


「で、でも……」


「大丈夫、クリスちゃんは何もしなくていいからね。護身術に専念して大丈夫だよ」



それを聞いて、すこしだけホッとする。どう考えたって今の私にはオーバーキャパですもの。



「ただ、僕が送り込んだ魔力を循環させるのだってそう長くは保たない。体が魔力の流れを忘れないように定期的にこうして魔力を送り込む必要がある」



それを聞いてちょっと体が引けてしまう。結構さっき恥ずかしかったんですけれど……あれを、何度もやる事になるのだろうか。



「僕が担当する二週間に一度のタイミングじゃ間があきすぎる。マークが護衛につく時も、顔だけは出すからちょっと時間を作ってよね。チョチョイっと魔力送ってあげるから」


「そんな、ご迷惑では」


「大丈夫、大丈夫! 面白い研究結果が得られると思えばこれくらい。それに気分転換に丁度いいし……クリスちゃんは嫌じゃない?」


「まさか!そもそもこちらからお願いした事ですもの」


「うん。じゃ、決まり! 護身術がある程度出来るようになる頃には、多分魔法を使える素地ができると思うよ? 無駄がなくていいじゃない」



笑顔でそう請け負ってくれたセルバさん。あまりのありがたさに、こちらも出来るかぎり研究に協力しようと固く誓った。



「クリス! そろそろ給仕に入っとくれ!」


「! はーい!」



急に聞こえた女将さんの声にはっとする。


いつの間にか昼食休憩の時間が終わっていたみたい! 私は慌てて裏口へ向かった。



「クリスちゃん!」



後ろから呼び止められて「はい?」と振り向いたら、なぜかセルバさんが意味ありげに笑う。



「さっきさ、結構ドキドキしてたでしょ」


「〜〜〜〜!!」



なんという人だ! 確信犯だったとは……!

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